【JIF2018】鶴田知佳子「通訳者の「解釈」とはなにか~歴代大統領の通訳から得た学び~」

鶴田知佳子

東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授、会議通訳者。NHK衛星放送、CNNなどの放送通訳者。CFA(アメリカ公認証券アナリスト)。AIIC(国際会議通訳者協会)会員。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、コロンビア大学経営学大学院修了。MBA(経営学修士)取得。金融業界で10年の勤務経験の後に通訳者となり、目白大学助教授を経て現職。フランス語学科卒業でイタリア在住経験もあり、英語のほかフランス語、イタリア語も話す 。

通訳者の「解釈」とはなにか~歴代大統領の通訳から得た学び~

通訳者は言葉の意味を訳すことは当然として、訳語の選択や全体的な表現を通じて話者の知性や品格も正確に反映することが求められる。国家首脳は代表的な例で、たとえばオバマ前大統領の緻密な論理構造と情緒的なレトリックは聞き手を惹きつけるだけではなく、言葉を通してその類まれなる存在感を示していた。しかし、リーダーとしての知性や品格を必ずしも備えていない人物がリーダーになった場合、通訳者はどのように対応すればよいのか。意図的な差別的表現や明らかに矛盾をはらむ発言が繰り返される中、通訳者は話者に対していかに誠実な解釈をすればよいのか。トランプ大統領の誕生により、通訳者はこの新たな問題に直面している。本講演ではクリントン大統領時代から現在まで放送通訳者として米国大統領の通訳を行ってきた鶴田知佳子氏が、自身の通訳経験および教育者としての経験に基づき、通訳者の「解釈」のあるべき姿を考察する。


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