鶴田知佳子と考える「通訳をするということ」

この秋から、日本を代表する通訳者であり、研究者としても長きにわたり最前線を走り続けてきた鶴田知佳子さんを迎えて、「通訳をするということ」について様々なゲストと語り合うイベントが始まります。若手からベテランまで、通訳のリアルに関心がある方はぜひご参加ください。 第1回「スポーツ通訳」 9月29日(日)14:00-15:30ゲスト:平井美樹 第2回「放送通訳」 11月2日(土)1...

吉岡余真人「機材エンジニアから見る通訳ブースマナーについて」

この度はこのような執筆の機会をいただき、誠にありがとうございます。 私は1989年(平成元年)から約35年間、通訳機材のエンジニアとして、通訳ブースの隣で、通訳者の皆さんが通訳する音声を最高の音質で参加者に届けるため、日々奮闘しております。 今回は、機材エンジニアから見た通訳ブースマナーについてお話しをしたいと思います。 1.資料の取り扱いについて 皆さん会議が終わったあ...

保護中: 【第13回】薬事の通訳ー医療機器を中心に「市販後の市場の監視」

【会員限定コンテンツ】  前回は、製造から出荷までの品質管理について主に説明しました。医療機器の規制はライフサイクルの終わりまでカバーされていますので、出荷~使用後の情報を監視することになっています。今回は、販売後の製品の監視の仕組みを説明します。 法的枠組み  まずは、市販後の監視の種類とその根拠となる法令を説明します。大きく分けて製造販売後安全管理と市販後安全調査に分かれま...

保護中: 【第19回】今日も苦し紛れ!放送通訳のブースから「最上級、どうする?」

【会員限定コンテンツ】 英文法の学習で必ず出てくる「比較級」と「最上級」。中学校で習いますよね。”-er” や”-est” など、英語の形容詞にたった2~3文字を加えるだけで規模の大きさが意味として変わってくるのです。コンパクトながらスゴイと思いませんか?日本語の場合、形容詞の形そのものは変わらず、「より大きい」「最も大きい」という形になります。言語の違いは実に楽しいですよね。 さて...

【第12回】シリコンバレー徒然通訳テクノロジーだより「GPTを使って&作ってみよう」

皆様お元気でお過ごしでしょうか。 サンフランシスコでは少し前に Waymo という無人自動運転のタクシーサービスが一般開放され、私も乗車する機会がありました。運転席の前にはハンドルがあり、運転手がいないのにハンドルが右へ左へと動いて車線変更をしたり角を曲がったりして不思議な気分でした。ライドシェアのように運転手との相性(スピードや車の芳香剤や音楽の好み、行き先について愚痴を言われる、など)...

保護中: 【第12回】薬事の通訳ー医療機器を中心に「品質管理システム-QMS 」

【会員限定コンテンツ】  前回まで、医療機器は設計開発と同じように製品実現も重要であることを説明しました。 今回は続いて、医療機器の製造と市場の流通の責任を持つ製造販売業者はどのように製品実現を行うかについて述べます。  製造販売業者の責務として、製造管理等基準省令(QMS省令)の規定を遵守するために必要な組織の体制を整備するというものがあります。*1 「必要な組織の体制を整備...

保護中: 【第17回】チャーリーの金融英語「LLMはどこまで信用できるのか?(3)」

「生成AI」は歪んでいるのか?② 本シリーズ(「LLMはどこまで信用できるのか?」)の第3回は、2023年3月8日に『ニューヨーク・タイムズ』に掲載された”Noam Chomsky: The False Promise of ChatGPT”(「ChatGPTの誤った約束」)の全訳を掲載する。段落には番号とタイトルをつけ、冒頭に目次を表示した。読者の学習/研究の便宜を図るためそれぞれの段落...

【第10回】通訳留学奮闘記~梨花女子大学校通訳翻訳大学院編~「教授って、本当に人間なのでしょうか」

 34歳でハングル文字から韓国語学習をスタートさせ40歳を目前に韓国の通訳翻訳大学院(=通大)に入学した私が、「通訳のための海外留学」のリアルな実態をお届けします。  今回は「圧倒的実力を誇る我らが教授陣についてのお話」です。 隙のないプロ集団  入学してまず驚いたのは、教授陣の卓越した(という表現すら失礼になるほどの)言語能力でした。  例えば教授陣が日本語・韓国語両方...

保護中: 【第16回】この台詞に注目!映像翻訳の楽しみ方『チャレンジャーズ』

【会員限定コンテンツ】 映像翻訳者の松本陽子です。配信作品を中心に字幕翻訳と吹替翻訳を手がけています。映画を見るのが大好きで、2023年は映画館で180本ほど鑑賞しました。動画配信サービスでも多くの作品を見るなかで、すばらしい訳に出会い、「この見事な技術を身につけたい」と思ってきました。そんな日本語訳を、ご紹介します。 第16回の作品は『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督...

保護中: 【最終回】安全保障と防衛の日英通訳「同盟国・同志国との連携 ―後編」

【会員限定コンテンツ】 日本の防衛戦略には、①日本の防衛体制の強化、②日米同盟による抑止力および対処力、③同志国との連携の3つのアプローチが挙げられています。1つ目のアプローチとして、防衛省は反撃能力の保有や次期戦闘機の開発など防衛力の抜本的強化を進めています。前回の記事「同盟国・同志国との連携 -前編」では、2つ目の日米同盟や日米安全保障協力を中心にまとめました。本連載最終回となる今回は...

保護中: 【第18回】今日も苦し紛れ!放送通訳のブースから「そしてまたもや直訳意訳問題」

【会員限定コンテンツ】  今年の猛暑は異常でしたね。日本だけでなく、全世界的に前例のないお天気になっています。オーストラリアに住む私の友人も、「8月は例年にない寒さだった」と述べていました。  近年のこうした天候も考慮しているのでしょう。かつて日本の運動会・体育祭は秋の風物詩でしたが、昨今では春におこなうケースも増えています。そう考えると、夏季五輪もこれからは南半球で実施する方が合理...

保護中: 【第8回】フランスとレイシズム

【会員限定コンテンツ】  この夏のパリで、オリンピックとは何なのだろうかと改めて問わずにはいられない。そこには多くの要素が混在しているため、一言で形容することは難しい。ただ、それが単なるスポーツの祭典などではないということだけは確かだ。  この疑問を抱くのは初めてではなかった。2021年、遠くの地から東京オリンピック開催の報を知り、「やはりやってしまったか」と思いはしたが、そうはいっ...

保護中: 【第11回】薬事の通訳ー医療機器を中心に「業の責任(総論) 」

【会員限定コンテンツ】  前回までは大まかに分けて薬機法上の製品の取り扱い(どのように製品の有効性・安全性を証明するか)について書いてきました。今回からは、製品そのものから視点を変えて、品質管理に関することに触れていきます。 製品の検証だけでは不十分  製品の有効性と安全性を根拠とともに説明するのが大切で、そのための手続きはどのようなものかと過去10回かけて説明してきました。項...

保護中: 【第18回】あの通訳研究って、実際どうなの?「機械は人間にとって代わるのか?―機械通訳の可能性」

【会員限定コンテンツ】  8月になりました。猛暑どころか酷暑と言いますが、これだけ気温の高い日々が続くと、まさに「地球沸騰化」を実感します。救急車を見かけることも多くなりました。  また、このところ株価の乱高下、為替の大幅な変動など、どこを見ても通常とは異なるレベルで物事が動いているようです。  加えて、7月末から始まったパリ五輪では、審判やルール適用に様々な疑念が報道...

保護中: 【第4回】映像翻訳家インタビュー 風間綾平さん「PART3:会長と講師と人気コラム」

【会員限定コンテンツ】 PART3: 会長と講師と人気コラム ―風間さんは映画翻訳家協会の会長をされていますね。昨年度から引き続きということで2期目ということでしょうか? 会長のお仕事は大変ですか? 風間 いや、まだ1期目です。1期が3年なので。 会長の仕事としては、プラットホームが増えて複雑になりました。たとえば昔なら劇場公開してパッケージ化して終わりだったんですが、今...

保護中: 【第4回】映像翻訳家インタビュー 風間綾平さん「PART2:差別用語と歌詞の字幕」

【会員限定コンテンツ】 PART2: 差別用語と歌詞の字幕 ―『ブラック・クランズマン』(2018年)についてお伺いします。 1970年代に黒人刑事が白人至上主義団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」に潜入捜査した実話を基にした映画です。監督がスパイク・リーということもあり、差別用語がバンバン出てきますが、日本語でもかなり思い切った訳にしていますね。 原音)Since...

保護中: 【第4回】映像翻訳家インタビュー 風間綾平さん「PART1:調べ物に酔うな」

【会員限定コンテンツ】 約1年半ぶりとなる映像翻訳家インタビュー! その間、私(岩辺)は「映像翻訳者の会 Wakka」を仲間と立ち上げ、無事に1周年を迎えました。JACIの皆さまには昨年(2023年)のフォーラムや合同納涼会で大変お世話になりました。この場を借りて、お礼を申し上げます。 さて、4人目にお迎えするのは映画翻訳家協会の会長であり、講師でコラムニストの風間綾平さん。お会いす...

保護中: 【第17回】今日も苦し紛れ!放送通訳のブースから「どの動物?」

【会員限定コンテンツ】 このコラムを書いているのは7月中旬。その数日前にトランプ氏が狙撃されるという衝撃的なニュースが発生しました。ケネディ氏やレーガン氏が狙われたときの映像は、「歴史的資料映像」として観たことはあります。しかし、私自身が生きる今、つまり、この2024年においてそのようなことがアメリカで生じたとはにわかに信じがたいことでもあったのです。 狙撃事件の当日、私は横須賀の千...

【JIF2024】吉崎エイジーニョ「韓国のスポーツとエンタメ『日本から見るべきホントのこと』」

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。「韓国トレンド研究所」サイト編集長。 本名英治。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。北九州市小倉北区出身。 ◆20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を連載執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関...

【JTF翻訳祭】高柳俊也、梶井夏実、関根マイク「通訳・翻訳の地域戦略~金沢から考える」

高柳俊也 20代前半にヨーロッパ、アジアなどを周遊して帰国後、2002年に株式会社エクスプレッションズに入社。取締役を経て、2020年に代表取締役に就任。翻訳・通訳エージェントとして金沢市を拠点に業務をしていた同社で、2017年からインバウンドのニーズに焦点を当てた戦略を立案し、会社の変化を主導してきた。現在は、翻訳・通訳業/宿泊業/旅行業の三事業を柱にしながら、各事業で得た知見を...

保護中: 【第9回】安全保障と防衛の日英通訳「同盟国・同志国との連携 ―前編」

【会員限定コンテンツ】 米バイデン政権は、2022年10月に発表したアメリカの安保戦略の中で、同盟国や同志国との「統合抑止」の推進を示しました。同年12月、日本は防衛力の抜本的強化を掲げる防衛3文書を閣議決定し、戦後の安保戦略の大きな転換点と注目を集めましたが、この中でも日米共同の「統合的な抑止力」をより強化すると述べています。そこから1年余りが経った今年4月、ホワイトハウスで行われた日米...

保護中: 【第10回】薬事の通訳ー医療機器を中心に「対面助言制度(PMDA相談)について 」

【会員限定コンテンツ】  前回は申請・審査に関する基本的な情報をお示ししたうえで、最後に「申請したら必ず承認されるわけではない」旨を書きました。今回は審査をなるべく円滑に進めるために必要な制度をご紹介します。 審査がうまく進まないこともある  様々な事情により審査継続不可能になった場合、申請取り消し又は取り下げの手続きに進みます。 申請取り下げ  申請後に審査開始前...

第6回 JACI同時通訳グランプリ 入賞者の声

【学生部門】 グランプリ 小松あろは(ミドルベリー国際大学院モントレー校) この度はグランプリという名誉ある賞をいただけたこと、大変光栄に思っております。 JACIの同時通訳グランプリは、私が通訳と出会った学部生の頃から、いつかグランプリに輝く日を夢見てきたコンテストです。学部2年生の頃に初めて挑戦してから、毎年予選登録を欠かしませんでした。パソコンの不具合で録音がうま...

【JIF2024】トム・ガリー「各分野のAI議論から考察する言語プロフェッショナルの未来」

トム・ガリー(Tom Gally) 1957年、米国に生まれる。カリフォルニア大学サンタバーバラ校言語学専攻卒業後、シカゴ大学大学院で言語学と数学の両修士課程を修了。1983年の来日後、日本語の勉強を始める。1986年から2005年までは和英翻訳、英文コピーライティング、辞書編集などを本業にする。著書は『英語のあや』、『英語のアポリア』など。訳書は『名随筆で学ぶ英語表現 寺田寅彦 ...

【お知らせ】会員の皆様へ

ご関心お寄せくださりありがとうございます。 本活動は下記の趣旨に沿って実施しています。ご一読いただき、講師として参加してみたいという方は、是非下記メールアドレスへご連絡ください。 ご参加お待ちしております。 【アウトリーチ活動のパンフレット】 活動の趣旨と実施内容をわかりやすくまとめました。リンク先からご覧ください。 https://www.japan-inter...

【教育関係者へ】アウトリーチプログラムとは

JACIアウトリーチプログラムは、日本会議通訳者協会(JACI)の通訳者が、小中学校や高等学校で通訳の『出前授業』を行うプログラムです。日本会議通訳者協会は、日本全国のみならず世界中で活躍する会議通訳者、大学教授や通訳学習者など約450名の会員が集まる通訳者の非営利団体です。 日頃は、国際会議やビジネスの会議、放送や医療現場、スポーツも含めさまざまなイベントなどで通訳をする私たちですが、次...

【三重県】セントヨゼフ女子学園(2024)

5月18日(土)と6月15日(土)の2日間に渡り、日本会議通訳者協会より各日3名が三重県のセントヨゼフ女子学園を訪問し、高校1年生を対象に通訳講座を行いました。その内容をご紹介します。 ♢ ♢ ♢ セントヨゼフ女子学園土曜特別講座「通訳技術にチャレンジ」 第1回 5月18日(土) JACIや講師の紹介をした後に通訳のお仕事について説明し、実際の通訳のデモを行って、逐次通訳...

【JIF2024】荻布純也「通訳者の肖像権や著作権について考える」

荻布純也 弁護士(東京弁護士会)。シティライツ法律事務所所属。高円寺のヒップホップ・ユニット「metrofield」のMCとして、2013年にless than TVより『ロスタイム』をリリース。広くエンタテインメント関連の法務を取り扱ってきた経験と、音楽やアートをはじめとするコンテンツやクリエイターへの強い愛とリスペクトを持って、柔軟かつ適切なアドバイス・解決を目指します。趣味は...

【第9回】通訳留学奮闘記~梨花女子大学校通訳翻訳大学院編~「本に埋まる」

34歳でハングル文字から韓国語学習をスタートさせ40歳を目前に韓国の通訳翻訳大学院(=通大)に入学した私が、「通訳のための海外留学」のリアルな実態をお届けします。 今回は「通訳そっちのけ?で本ばかり読んでいる話」です。 始まりは教授の「本を読め」指令 「本を読め。徹夜してでも本を読め」 「最低でも週に短編一本くらいは読め」 こんなことを1年生の1学期から複数の教授に...

保護中: 【第16回】今日も苦し紛れ!放送通訳のブースから「直訳でしらけるぐらいなら」

【会員限定コンテンツ】 先日読んだ「生き方」関連の本に興味深いことが書かれていました。どのようにすれば、日々ストレスをためることなく幸せに暮らせるか、という内容です。著者いわく、 「できる限りテレビやネットのニュースを見ないことが大事」 とのこと。なぜならニュースというのは悲惨な出来事や、気分が滅入る内容が多いからです。一日の始まりに暗い話題に触れれば、爽快な朝の気分が台無しに...