【第2回】日英通訳者がソウル大学校語学堂に留学してみたら「語学堂ってどんな授業をするの?社会人の学生生活はいかに?!」

여러분, 안녕하세요! 皆さん、ソウルからこんにちは。日英通訳者の古賀朋子と申します。11月の末からソウル大学校の語学堂に短期留学をしています。今回の連載では日英通訳者なのに、なぜか韓国に留学することになった体験を、そこに至るまでのお話と共に皆さんにお伝えしていきたいと思います。

予想以上にあっという間に4週間の授業が終わりました。今回は入学の際のクラスのレベル決めから実際のクラスでの様子についてお伝えします。

入学の3週間前ぐらいに案内が来て、そこから数日のうちに筆記テストを受けました。繁忙期真っ只中で焦りしかなかったのですが、テスト期間の締め切りが土曜日だったので、何とか受けられました。オンラインで受ける筆記テストにはハングルのキーボードが必要で、遅まきながら慌てて購入。テストの日までに問題なく届いたのですが、ヒヤヒヤしました!

試験の構成は初級、中級、上級となっていて、制限時間があります。各級の終わりで次のレベルが無理だと思えば、そこでストップしてそのまま出せるようになっていました。問題の多くは選択式でしたが、各級の最後には作文問題もありました。初級は作文の指示が韓英併記になっており、問題が理解できないために作文ができないことがないようになっていました。

作文ですが、恥ずかしながら、口頭なら言えるのにスペルが分からない単語が多々あり、スペルが分かる別の単語への変更を繰り返しました。そして中級の選択式問題に進んでみると案の定ほとんど分かりません。中級の作文は指示が韓国語のみでしたが、理解できたので作文を入力し、中級を終えたところで提出しました。試験の日までスマホでしかハングルを打ったことがなく、しかも普段は音声認識をメインにして書いているので、亀のようなスピードで両手の1本ずつの指で打つような感じでダサ過ぎました・・・。

筆記試験から約2週間後に、スピーキングのテストがありました。ちなみに語学堂には1-6級があり、一番易しい1級から受けたいと自分で希望することもできます。その場合はスピーキングのテストは不要です。

普段から会話の練習をしていたので緊張はあまりせず、試験官の先生もとても気さくな雰囲気で話してくださいました。簡単な自己紹介や韓国語の学習について話し、そのあとは二択を出され、どちらがいいかとその理由について説明するような内容でした。終了後「2級だと退屈すると思います。3級だと挑戦にはなるけれど、クラスメイトと話しながら楽しくできると思います」と言われました。一瞬迷いましたが、そう言われたからには3級を受けるしかないですよね?

さて、授業は平日の9-13時です。冬学期中に平日で授業がないのは、クリスマスと元日、旧正月3日の合計5日のみです。(元々は5日でしたが、1月8日に急遽1月27日が臨時休日に指定されるという発表があり、学校もお休みになるそうです!が、先生たちはただでもパツパツな授業のスケジュールをどうするか、頭を悩ませています。かわりに土曜日に授業とかになっちゃうのかしら?)

授業は合計4時間ですが、途中10分、20分、10分の休憩を挟むので実質3時間20分です。最初は集中できるかと心配でしたが、あまり問題はなく、先生がゆっくり単語を選んで話してくれるので、ほぼ聞き取れる状況です。自分が分からないことも質問して答えてもらえているので、とても満足感があります。(日本とアメリカで学生だった時とはまるで別人のように、めちゃくちゃ頻繁に質問をしています!)

そしてこれは想定内でしかないのですが、問題はやっぱり文法と書くことです。毎日新しい文法項目を2つずつ習うのが本当に大変で泣きそうです。品詞によって付く時の形が変わる文法が多く、説明を聞いて納得してもなかなか使えるようになりません。また同じ語末でも動詞と形容詞の場合があり、そもそも品詞を勘違いしているために間違った文を作ることもしばしば。アプリで繰り返して暗記するようなスタイルで勉強してきたので、単語の基本形を知らないことも多々あり、先生にバレたら呆れられそうで怖いです!

そしてスペルが壊滅的に分からず、本当に困ります。この間もテレビジョンという単語のスペルが分からず、問題を解けないのでチーンと固まってました。こんな呆れるようなレベルなのに優しく教えてくださる先生方に感謝です。ちなみに、先生は1人ではなく、曜日によって異なる3人の先生が教えてくださっています。

個人的には単語の説明が長めだと感じていて、各自予習もしているはずなので、その分の時間をもう少し話す練習に当てて欲しいですが、漢字語が出てきた時に日本人の私と中国人の二人のクラスメイト以外はすぐにピンと来ないので、仕方ない部分もあると思います。ちなみにクラスで日本人は私1人です。あとはロシア人3名、モンゴル人3名、中国人2名、アメリカ人1名、チリ人1名、ポーランド人1名、カザフスタン人1名です。(ちなみにロシア人1名は途中から来なくなりました・・・。)

また、通常の授業の他に、2-3人で前に立って行うロールプレイが6回、個人で行う発表が2回、そして中間試験、期末試験があります。他にも会話を作って書く宿題は1日おき、単語テストは復習の日や試験の日を除いては毎日あります。そして会話を作るのとは別の作文の宿題も週1ぐらいのペースで出されます。

授業で扱う教科書の内容が盛りだくさんで、授業では疑問があってもゆっくり考えられない時や時間切れで一部の内容がカバーできないこともあります。(ちなみに私たちのクラスは質問が多く、時間が足りなくなることが多いと、先生方が泣き笑いの顔で嘆いていました。)私は授業を一度聞いただけでは定着しない感じがするので、帰宅後に必ず復習するようにしています。

帰宅したら、復習をして、宿題を終わらせて、翌日の語彙テストに備えて予習をする毎日ですが、留学エージェンシーが主催する語学交換の集まりが週1であり、そちらに顔を出すこともあります。時々午後に韓国人の友達とお茶をして会話をしたり、ごくたまに推し活をしたりもしています。この友達がARMY(BTSのファン)で、日本語を習っている人でもあるので、話すことも多いし、一緒に推し活もできて最高です!大切な息抜きの時間ですが、韓国語も話せて一石二鳥です。

1ヶ月が過ぎてみてやっと授業のペースやスタイルに慣れた感じがしています。1、2級から上がってきたクラスメイトに比べて勝手が分からず、最初は本当に戸惑いました。おまけに初日の午後にあったオリエンテーションに行くのを忘れる始末でしたが、アメリカ人のクラスメイトが色々を教えてくれて本当に助かりました。あとクラスのメンバーが入っているカカオトーク(日本でいうLINEのようなもの)のチャットもあるので、そこで質問することもできて安心です。

各国から来たクラスメイトと韓国語を共通語として会話しているのが本当に不思議で興味深いです。どうも全員英語はできるようなのですが、できるだけ話さないようにしています。時々母国語で話しているクラスメイトもいますが、私は同じクラスに日本人がいないので、そうなる心配もありません。前述のアメリカ人が実は日本に留学していたこともあり、日本語も少しできるのですが、日本語でも英語でもなく、ほぼほぼ韓国語で話しています。

年明けすぐの中間試験が心配で生きた心地がしませんでしたが、筆記、リスニング、リーディング、口述試験のうち筆記以外は良い点数を取ることができました。筆記も決して悪くはなかったのですが、入学前のテストと同様スペルが分からない単語が続出で、口頭でならもっときちんと色々言えたのにと思い残念でした。

日本にいた時に比べれば、はるかに多くの量を書いていますが、問題に書いてあることを繰り返して作文をするなど、一から書くことばかりではないので、なかなか身に付かない部分もありますね。スペリングがはっきりと分からない単語を当てずっぽうで書くとスペリングの減点で点数がなくなってしまうのではないかと思い、怖過ぎてできませんでした。結果的に若干幼稚な文の構成になった気がします(汗)。とりあえず、総合得点としては想像より良かったので一安心でした。

ここまでで一番面白かったのが、最初の授業の日に自己紹介した時でした。クラスのほとんど全員が交換留学として、もしくは大学や大学院に入る準備や前段階で語学堂に来ていると話す中、私だけが「BTSが大好きで彼らの言葉を理解したくて韓国語を勉強しに来ました」と謎の自己紹介をして、周りがちょっと唖然としていました!

韓国の友達とカフェでお茶をしながら会話を練習しています


古賀朋子

フリーランス英日通訳者。千葉県出身。英会話学校で主任講師などを務めた後、2002年に渡米。モントレー国際大学院(現ミドルベリー国際大学院)にて会議通訳修士号を取得。ホンダのアラバマ工場で社内通翻訳者として勤務。2010年に帰国後、製薬会社、損害保険会社、MLM企業の社内通翻訳者を経て、2020年1月より本格的にフリーランス通訳者に。主な専門分野は自動車、製薬。DEI、サステナビリティ、市場調査、マーケティング、ファッション案件なども担当。2024年11月末よりソウル大韓国語教育センター(語学堂)に留学中。