【第28回】現役通訳者のリレー・コラム「ピースボートでの通訳経験を通じて」

(執筆・満元証)

通訳学校などを通じて通訳者として必要な技能を身につけたとしても、最初の仕事を獲得して通訳者としてのキャリアを歩み始めるための「第一歩」に苦労するという話を聞くことがあります。一度仕事を獲得してエージェントやクライアントとのかかわりができれば、それが実績となり次の仕事の獲得につながりやすくなりますが、そうしたつながりがない場合は実務経験なしから「あり」へと変える「”0”を”1”にする」という作業が必要になります。

通訳学校で授業を受けたことが半年しかなかった私は、エージェントに人材登録に向かう前に、腕試しと修行を兼ねてNGOピースボートの主催する船旅に通訳担当のボランティアスタッフとして乗船しました。この経験を経て、現在は都内の企業で通訳として勤めています。ボランティアスタッフとしての乗船であり給与は出ないため(乗船費、宿泊費、食費は免除されます)実務経験としてカウントできないかもしれませんが、「”0”を”0.5”にする」ことはできたかと思います。私からは、現在通訳を目指し努力されている方に向けて、実務に近い通訳を経験する方法の一つとして参考になればと思い、ピースボートでの通訳経験についてお話しさせていただきます。

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