【JITF2020】カイザー・トマス「特許翻訳のイロハ」
Thomas Kaiser(カイザー・トマス)
オーストラリア出身。オーストラリア国立大学にてコンピュータ科学と日本語を修める。元オーストラリア国家公務員(ソフトウェアエンジニア)。2008年来日、技術・特許分野の社内翻訳として翻訳経験を積むが、コロナの影響でフリーランス転向を決意。好きなものは落語と笑点とコンピューターゲーム。妻は日英通訳者。一児の父。
特許翻訳のイロハ
技術分野が進歩して生まれる発明は、特許を取れば国が守ってくれます。特許とは、発明を説明する法的文書のことです。世界的に発明を保護するには、その文書を訳さなくてはなりません。特許出願のプロセスは長く、国境を越えて申請を行うには大量の翻訳が必要とされます。例えば、出願書類そのもの、特許審査当局とのやり取り、既存の特許の取り消しを求める訴訟などです。過去10年、日本では海外からの特許出願が増加傾向にあり、翻訳の需要も高まっています。
ただの技術翻訳ではなく、法律文書という要素もある特許翻訳という分野は幅が広く、特許翻訳者は化学、電気工学、機械工学、バイオテクノロジー、電気通信などの分野のうち、ひとつ以上に精通している必要があります。
東京の特許事務所に勤務した経験から、本講演では特許のライフサイクルを概観し、どこで翻訳(および通訳)業務が発生するのかを示し、特許翻訳へのアプローチを説明していきます。