【第13回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「生活の知恵あれこれ」

最近私は「発達障害」に興味があり、色々と本を読んでいます。中でも非常に参考になったのが、「発達障害サバイバルガイド」(借金玉著、ダイヤモンド社、2020年)でした。発達障害というのは外見だけではなかなか理解してもらえず、その一方で当事者であるご本人たちは、生きづらさや生活の規則正しさの送り方などにおいてとても苦労しておられます。本書にはどのようにしてサバイバルできるかが47のヒントとして綴られているのですが、誰にとっても大いに参考になることが書かれていました。

そこで今回のライフハックスでは、借金玉さんから得たインスピレーションを始め、私自身が工夫してみたことなどをお伝えしていきます。すでにご存じの項目があるかもしれませんが、よろしければお読みくださいね。

1.食器「乾燥機」のススメ

 食器を洗う工程は「たわしで汚れを落とす→スポンジに洗剤を付ける→スポンジで洗う→すすぐ→水切り籠に入れる→乾くのを待つ→乾き足りない部分を拭く」という7工程があります。そこで最後の2工程を省略するために、私は昨年秋に食器「乾燥機」なるものを買いました。これだけでも、ものすごくプロセスが省かれて楽になり、何よりも非常に気が楽になりました。食器を洗ったり拭いたりというのは、確かに数十分で済む作業ですよね。でも、その数工程を機械に頼るだけで、これほど心に余裕ができるのかと大きく開眼しました。

2.レンタルのススメ

 私はレンタルのサービスをよく使っています。たとえばスーツケースやキャリーバッグ、家具や家電、ピアノ、ベビー用品など、今まで随分とお世話になりました。何しろ家の中の収納には限りがありますので、レンタルで済ませられるなら、それに越したことはありません。最近はレンタルをしてみて、気に入ったらそのまま購入できるサービスもあります。

3. 自動オフ家電のススメ

 これまで私は「モノをなるべく増やしたくない」という考えから、キッチン家電は最小限に抑えてきました。お湯を沸かす際にはピーピーケトルで、保温は魔法瓶で、トーストは魚焼きグリル(片面1分ずつでおいしくできます)などと工夫してきたのですね。けれども、ピーピー鳴ればガスを消す、タイマーが鳴ったらトーストをひっくり返すなど、その都度、即座に対応せねばならない状況になります。そこで思い切って「保温機能付き電気ポット」を購入。当初は電気代がかかるかしらなどと考えてしまったのですが、それよりも、作業を中断されずにそのまま保温できることはストレスフリーになります。一方、トースターは今話題になっている某メーカー(スチームで焼くタイプ)をレンタル中です。何しろこちらは出来上がりが本当においしくて感動ものでした。レンタル後は購入予定です。いずれにせよ、「自分が消しに行く」のでなく、「勝手に家電がオフにしてくれる」ということが、これほどストレス減になるとは思ってもいませんでした。

4.手間を省く工夫

 借金玉さんの本の中に、果物や野菜などは皮をむかなくても大丈夫という記述がありました。もちろん、バナナや玉ねぎなどは皮をとらねばなりませんが、ジャガイモや人参、リンゴなどはよく洗えばそのまま食べられるのですよね。もちろん、農薬が気になる方は無農薬野菜にするか、そのまま皮をむくかのどちらかになりますが、私は何しろ「時間を節約したい派」ですので、最近はどんどん皮付きで頂いています。先日、長いもをおろすレシピに挑戦したのですが、おろし器が無いことが判明。ネットで調べたところ、たわしでよく皮を洗えば、皮付きのままでも大丈夫、しかもジップロックに入れて上から叩けばおろせるとありました。やってみたところ、おいしくできました。これも時短の一つですよね。5.

5.ガス衣類乾燥機のフル活用

 我が家にはガス衣類乾燥機があります。今までは、乾燥機で縮む衣類はすべて手でサークルに干していました。けれども、よーくトリセツを読むと、「デリケート衣類機能」なるものがあることを発見!以来、タオルやシーツ含め、すべてまとめてデリケート・コースで乾かすようになりました。要は「一番ケアが必要な部分に他を合わせる」ということです。洗濯機も「ドライコース(=デリケート洗い)」を使うことが多くなりました。

6. 乾かし方の工夫

 引き続き洗濯の話題です。たとえば、ズボンを洗う際、通常は表側のまま、洗濯機に入れますよね。でもこうしてしまうと、物干しざおに干したとしても、ポケットの中までなかなか乾きません。そこで最初から裏返した状態で洗濯機に入れることにしました。ばらばらになる靴下などは、洗濯ネットに入れたまま乾燥機へ。これだけで畳むときのストレスが減りました。

7.少ない服でのコーディネート

 クロゼットのスペースに限りがあるため、なるべくオーソドックスな色のもので服は揃えるようにしています。その分、スカーフは場所を取らないため、スカーフでアレンジすることが近年のマイブームです。洋服全般で心がけているのは、たとえばクリスマスであれば赤や緑を、新年なら赤と白、という具合に、季節感の色を取り入れていることです。また、私の場合、「曇天や雨の日はあえて明るい色を着て自分を元気にする」ことも心がけており、晴れている日は暗い服でもOKと決めています。コーデに関しては、ネットで「コーデ 冬 赤 白」などと入力して画像検索で絞り込むと色々な写真が出てきますので、それを参考にしています。

8.「快」を最優先する

 洋服を買う際のポイントとしては、デザインや色、ファッション性、ブランドなど、色々な基準で選ぶことと思います。ただ、最近私が重視しているのは「着心地」です。たとえば私の場合、タートルネックのデザインが大好きなのですが、首周りに布地がピッタリついてしまうと、どうしても気になり、仕事に集中できません。よって、選ぶ上では「快」を最優先するようになりました。

9. 太陽から元気をもらう

最近心がけているのは、太陽の恩恵を受けることです。太陽や青空というのは、あまりにも当たり前の存在になっていますよね。でも私の場合、かつてイギリスに暮らしていた際、太陽が見られない真冬を経験したことがあり、お日様が出ているだけでいかに人は元気づけられるかを痛感しました。そこで最近改めて「起床時にあえて太陽を見つける」「早朝シフトの際、電車の中で日の出が拝めるならあえてじっくり味わう」といったことをしています。また、空の雲の形を堪能したり、煙突から出る煙(ごみ処理場やクリーニング店などからの煙)を探しては眺め、そこから元気をもらっています。

10.最後に

 何かと心が揺れてしまうニュースが続く中、自分の健やかな心身を保つのは大切です。ストレスをため込まないこともその一つ。人間関係でも、何か伝えたいことがあるならば、我慢せずにコミュニケーションをとることも自分を守る上で大事ですよね。カギを握るのは「どのように相手に理解してもらえるような伝え方をするか」です。「自分さえ我慢すれば」という考えは自分を追い込んでしまいます。借金玉さんも、「自罰的な感情」は人を救ってくれないと書いています。大変な時代に私たちは今生きています。だからこそ、生活の知恵で工夫をしてみる、自分の心と体を大切にする、そういったことが、今こそ求められていると思います。

 以上、今回は10個のポイントをお伝えしました。少しでもお役に立てれば幸いです。


柴原早苗(しばはら さなえ)

放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳業に従事。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。