【第6回】通訳・翻訳学習記 東京外国語大学編「二年次春学期開始」
皆様、こんにちは。日本会議通訳者協会理事の佐々木です。
夏季休暇中に修士論文の執筆やオンライン形式で行われた同時通訳の課外実習があり、慌ただしい日々を過ごしていたため、執筆が遅くなってしまいました。申し訳ありません。
新型コロナウイルス感染者数が減少傾向になってきましたね。私は、先日2回目の新型コロナウイルスワクチン接種を受けました。重症化のリスクが低下したのは、ありがたいですが、気を緩めず、感染対策をしっかりして、日々過ごそうと思います。
前置きが少し長くなりましたが、今回は、2年次春学期と春学期中に実施された学内での同時通訳実習についてお話します。
2年次春学期
あっという間に2年次の春学期を迎えました。
以前お話した通り、東京外大では、1年次に逐次通訳、2年次は同時通訳を実習等で学びます。
昨年の先輩方と同様に、新型コロナウイルス感染拡大を考慮して、英日同時通訳はオンラインで、日英同時通訳は対面で、それぞれ授業が行われることになりました。
2年次においては、同時通訳の授業と修士論文や修士研究のゼミである「通訳翻訳研究」を履修しました。以下で各授業の概要について説明します。
「同時通訳ワークショップ(日本語 → 英語)」
「同時通訳ワークショップ(日本語→英語)」では、教材を使用した同時通訳演習とZoomを活用してゲストスピーカーに日本語で講演していただき、それを英語へ通訳する授業が行われます。
どちらも事前にスピーチのテーマを与えられますが、講演に関しては、原稿等資料が来るかどうかはゲストスピーカー次第であるため、自分でできる限り準備して、実習直前にゲストスピーカーと打ち合わせを行い、不明な点を確認します。
単語帳の作成やテーマをもとにインターネットで背景知識を習得するなどして、準備するようにしていました。
「実践同時通訳演習(英日)」
「実践同時通訳演習(英日)」は、上述した通り、オンラインで実施されました。授業の内容としては、サイトトランスレーションや教材を使用した同時通訳演習や実習などがあります。テーマは事前に与えられるため、上記の「同時通訳ワークショップ(日本語 → 英語)」と同様、単語帳作成やインターネット検索による背景知識習得などをして、演習に臨みました。
また英日の授業においては、学内および学外で通訳実習があります。学内に関しては、今回のコラムで後述し、学外については、また次回、概要をお伝えします。
「通訳翻訳研究」
こちらは修士論文や修士研究のゼミで、2年生が受講します。私が所属する日英通訳・翻訳実践プログラムでは、修士論文以外に、用語集の作成のほか、翻訳やその分析を行う「修士研究」があります。ゼミでは、各学生が取り組んでいる修士論文、修士研究に関して進捗報告や質疑応答を行い、先生からコメントをいただきます。ゼミで得た気づきや知識を各自、修士論文や修士研究に反映させていくという流れです。
ここからは、春学期中に実施された学内での同時通訳実習について簡単にお話していきます。
同時通訳実習
上述した「実践同時通訳演習(英日)」では、学部生の授業で行われるプレゼンテーションを同時通訳する実習が2回ありました。1回目は英語から日本語へ、2回目は日本語から英語へ同時通訳をしました。
通訳をする大学院生一人につき、学部生による約3分間のプレゼンテーションを2人分から3人分担当しました。Zoomの通訳機能を使用して同時通訳を実施するため、遠隔同時通訳(RSI)の経験を学生であるうちに積めることは、大きなメリットがあると感じました。
準備は、通訳を担当する学部生からスライドや原稿をいただき、それをもとに単語帳の作成や背景知識の習得をします。本番前に担当する学部生と数分間の打ち合わせを行って、最終確認をします。本番では、できる限り学部生が伝えたいメッセージを通訳に反映して届けることを意識していました。
今回実施した実習に対するコメントが、東京外大のホームページに掲載されています。
ご興味あれば、以下のリンクから読んでみてください。
http://www.tufs.ac.jp/NEWS/student/210730_2.html
今回は、2年次春学期と、春学期中に実施された同時通訳実習のお話をしました。次回は、夏季休暇の過ごし方とオンライン形式で行われた同時通訳の課外実習の概要をお伝えしたいと思います。
新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にありますが、皆様どうぞ体調にお気をつけて過ごしてください。
佐々木勇介
JACI理事。東京外国語大学大学院修士1年。学部卒業後、ITおよび通信の会社2社で通算4年半、エンジニア兼社内通訳者として従事していた。趣味はイギリス発祥のスポーツであるクリケットと愛車のロードバイクで一人旅。