【JITF2020】田村かのこ「アートトランスレーション:『通訳は必要か?』から始める創造の現場」

©︎Hajime Kato

田村かのこ

アートトランスレーター(通訳・翻訳者)。アート専門の翻訳・通訳者の活動団体「Art Translators Collective」を主宰し、表現者に寄り添う翻訳の提供と新たな価値創造を試みる。札幌国際芸術祭2020ではコミュニケーションデザインディレクターとして、展覧会と観客をつなぐメディエーションを実践。非常勤講師を務める東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻では、アーティストのための英語とコミュニケーションの授業を担当している。2008年タフツ大学土木工学部土木建築専攻卒業、2013年東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。NPO法人芸術公社所属。

アートトランスレーション:「通訳は必要か?」から始める創造の現場

アート(とくに現代アートや舞台芸術など、今を生きるアーティストたちが今の社会を見据えながら行う表現)の世界で通訳者としてやっていくことは、少なからずその作品に創造的に加担することを意味します。通訳を「する」から「しない」まで、その程度や方法がプロジェクト/アーティストごとに大きな可能性に開けていて、通訳者のふるまいや言葉が、作品制作に直接影響を及ぼすこともあるからです。既存の価値観を疑ったり、凝り固まった世界の見方に疑問を投げかけたりする役目を持つアーティストたちの「声」になるということは、通訳・翻訳そのものの持つ役割や、可能性や、創造性について改めて問い直すことにもなります。

本講演では、現代アートって難しい!と感じている皆さんにも気軽にご参加いただけるよう、「アートって何?」というところから始めながら、そこに求められる通訳の技術、現状や課題、アートの現場ならではのあるある話や、訳しづらい専門用語・頻出表現などについてお話したいと思います。また私が「アートトランスレーター」とわざわざ名乗って働きかけようとしている、アートにおける広義のコミュニケーション環境の改善についても、その取り組みと考え方をご紹介できればと考えています。

講演内容は、通訳の話題が多くなりますが、翻訳者の方々もぜひお気軽にご参加ください。