第12回|困った時のお助けアイテム(後編)
update:2017/08/31
引き続き「困った時のお助けアイテム」をテーマにお届けします。今回の「ピンチ」もなかなか手強いですよ。さてどんな解決法が登場するか・・・乞うご期待!!?
「困った」その4
~外は暴風雨!!・・・なのに仕事・・・(涙)~
今年はお盆前後(8月10日~20日)の東京の降水量が、平年の224%だったそうです。なんといつもの2倍以上も降ったんですね。ちなみに日照時間は平年の16%、すなわち5分の1以下!!
長雨が続くと地面の保水力が限界に達し、ちょっとした降雨でも道路が冠水する危険性が高まるため注意が必要です。いや、それどころか、台風が直撃しようと、大雨洪水警報が発令されようと、仕事に行かなきゃならないのが社会人の悲しき性。
梅雨や台風の季節には、高性能のレインコートや長靴があると心強いですね。職場に自分のロッカーや机があれば、そこにビジネスシューズを常備しておいて長靴で通勤すれば一発解決!でも、フリーランス通訳者はそうはいきません。そんな時お勧めなのが・・・
この長靴、履くと膝下まであるのに、なんと収納時にはスニーカー程度の大きさで持ち運ぶことができるのです。携帯用の巾着も付属しています。もともと「田植え用」の長靴をベースに「バードウォッチング用」として開発されたものですが、ここ数年、野外フェスに出かける人たちを中心に静かなブームとなっています。男女共用です。
筆者は、お盆休みに群馬県の某キャンプ場で「青少年の野外活動のケータリング支援(給食のオバちゃん?!)」のボランティアをしていたのですが、ご記憶の通りお盆は雨続き。山の上のキャンプ場は「下界」の何倍もの豪雨に見舞われ、あちこちに足首まで沈むようなぬかるみが出来ていました。期せずして、この長靴を過酷な条件下で検証する羽目に。
そこで分かったのですが、こちら、ぬかるみで威力を発揮するだけでなく、土砂降りの中、傘をささずにキャンプ場の炊事場と倉庫の往復で走ったりしても、履き口が巾着のように絞ってあるため雨が入ってこないんですね。ハンターブーツ風のデザインもお洒落だし、履き心地も抜群、それでいて5000円を切る価格!!というわけで、私の知る限り「地球上で最強の長靴」ではないか、とすら思う次第です(笑)。
ずっと「暴風雨に耐えられ、ビジネスシーンでも違和感無く履けるレインシューズ」を探していましたが、履き口から水が侵入し中が濡れてしまうことはどうしても避けられませんでした。今後はこの長靴で「仕事場に着いたら履き替える」方針に切り替えようと思います。少し大きめのサイズを選んで厚めの中敷きを入れれば、大雪の日にも活躍しそうです。
ちなみに、タウン用の長靴で苦労していた他のボランティアさんたち、どこで買えるか教えてあげたら、6人中3人がその場で「ポチって」いました(笑)。
「困った」その5
~会議の前に演者と打ち合わせ→パソコンの中に見慣れないプレゼン資料を発見!~
さて、舞台をキャンプ場から会議場へ移しまして・・・この、ちょっぴり殺意さえ覚える場面、通訳者なら1度や2度は経験があるんじゃないでしょうか。
誰かに印刷してもらえれば一番ですが、状況によっては自力で解決しなければならないこともあります。その場でパソコンの画面をざっと見せてもらうだけでなく、手元にあったほうがやはり安心ですよね。でも、演者にメールで送ってもらおうにも、インターネットにつながっていない。USBメモリスティックも持っていない。そんな時の解決法をいくつかご紹介します。
1.デバイス間のBluetooth通信
・アップル製品同士の場合
このパターンならラッキーです。「Air Drop」という機能を使えば、びっくりするくらい簡単にファイルの送受信が可能。メールアドレスを相手に教える必要もありません。
お互いの端末でBluetoothをONにしておき、iPhoneやiPadでは「コントロールセンター(画面下部から指で上方向にスワイプすると表示できます)」を、パソコン側では転送したいファイルを開き、メニューバーから「Share/共有」>「Send a Copy/コピーを送信」>「Air Drop」の順に選択し「Next/次へ」をクリックすると、共有先の端末が表示されます(認識に数十秒かかる場合もあります)。該当の端末を選んでクリックするとファイルが共有できます。
詳しい操作方法については、Dropboxのサイトが分かりやすくてお勧めです。
・WindowsとAndroidの場合
「Bluetoothのペアリング」で同じことが可能です。操作方法はこちら。
ただし、上記のAir Dropよりも手順が複雑です。演者がこの操作に慣れていない限り、一刻を争う場面ではお勧めできないかもしれません。とはいえ、知っていて損はない機能だと思います。
同じく、Dropboxのサイトが参考になります(後半部分)。
2.テザリング
テザリング(英: tethering)とは、通信端末を内蔵したモバイルコンピュータ(携帯電話回線に接続されたスマートフォンなど)を外付けモデムのように用いて、他のコンピューター等をインターネットに接続することである(Wikipediaより)。
自分のスマホをWifiルーターのように使って演者のパソコンをネット接続し、プレゼン資料をメール送信してもらいます。キャリアのオプションサービスに加入していないと使えない機能なので、利用方法は各社の以下のサイトを参照のこと。
いずれにせよ、PowerPointなどのファイルが開けるよう、スマホやタブレットにアプリを入れておくなど、受け側の環境もあらかじめ整備しておく必要があります。また、送受信に手間取って資料に目を通す時間がなくなっては本末転倒ですので、暇な時に自分の持っている端末で一通り操作に慣れておくことをお勧めします。
それでもダメなら、双眼鏡で見るしかないですね。ここでもバードウォッチングの装備が役に立ちそうですね(笑)。
「困った」その6
~コンタクトレンズを洗面所で流してしまった!!~
「眼鏡や予備のレンズを持っていれば」と悔やんでも後の祭り。そんな時(ガジェットではありませんが)近くに「メガネスーパー」があれば、お昼休みに駆け込みましょう。えっ、1時間じゃ足りないって?大丈夫、安心してください。メガネスーパーは、処方箋がなくても度数さえ分かれば、その場で販売してくれるんです。
なぜそんなことが可能なのか・・・答えは簡単。実は、薬事法上(2017年8月現在)、コンタクトレンズ購入時に処方箋(装用指示書)を提出しなければならないなどという法的義務はないのです。詳しくはメガネスーパーのサイトを参照のこと。
医師の診察と処方箋の提出は、あたかも「義務」であるかのように求められていますが、それを決めているのは法律ではなく「大人の事情」だったのですね。そんな業界の構造に「処方箋不要のネット通販」が風穴を空けましたが、その対抗策として同様のシステムをメガネスーパーが実店舗に導入したというわけですね。
誤解のないよう付け加えておきますが、コンタクトレンズを装用していれば、当然目のトラブルのリスクは高まります。定期的に眼科で目の状態を診てもらうことは大切であり、それを否定はしません。でも、それは普段から心がけておくべきことであって「コンタクトレンズを失くして予備も持っておらず、1時間後には仕事に戻らなければならない時」にやることではないし、それを義務付ける法律も存在しません。堂々とメガネスーパーを利用しましょう(笑)。
コンタクトレンズを着けている方は、早速、今日は家に帰ったらパッケージに貼ってある度数のラベルをスマホで撮影しておきましょう!(ハードレンズの場合は、度数だけでなく直径やベースカーブの情報もあったほうがよいかもしれません)いつどんな時に役に立つか分かりませんよ。
「困った」その7
~眼鏡のつるが外れて・・・ネジもどこかに行っちゃった!~
これもメガネスーパーに行けば何とかなりそうですが(笑)・・・身近な「あるもの」を使うことで、もっと手軽に解決します。その「あるもの」とは?!
・・・なんと「つまようじ」!!
つまようじの尖ったほうをネジ穴にできるだけ深く挿し、外に出ている部分をポキっと折るだけ。
ぱっと見、つまようじだなんて全然分かりません。とりあえず、これで1日は凌ぐことができます。眼鏡はもちろん、旅行先でサングラスのネジを失くしたときにも使えますよ。
さて、今回は2回にわたって7つのピンチと対処法をご紹介してまいりました。いかがでしたか? 皆さんの「困った」が少しでも解決しますように!
平山敦子
Atsuko Hirayama
会議通訳者。得意分野は司法、軍事、IT、自動車など。元米国大統領、経済学者など著名人講演の同時通訳も多数。この仕事を目指したきっかけは大学在学中のアルバイト。スポーツイベントのバイリンガルスタッフとして働いていたが、ある日現役のプロ通訳者と同席、その仕事ぶりを目の当たりにし衝撃を受ける。
「私もこんな風になりたい!」とアルバイトに精を出す(?!)うちに、いつしかそれが仕事に。通訳界では知る人ぞ知るガジェットおたく。パフォーマンスを最大化してくれる優れモノの道具を求め日々研究中。