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【第9回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「大学院でサバイバル!の巻②」

新型コロナウイルス 、ますます大変な状況になっています。 実は先日、母と娘と共同で東京に小さな1LDKのマンションを買いました。その引き渡しが4月末にあり、当日は司法書士の前で諸々の書類に署名をしなければなりません。先月オーストラリアでこのコラムを書いていた時は、世界の中心から遠く離れたオーストラリアにコロナの影響はありませんでした。まだ夏の余韻があり、暖かい日にはビーチに人が大勢押し寄せていま...

【第20回】駆け出しのころ「幸運の女神には、前髪しかない。」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** どのようにして通訳になったのか、それまでの経緯を話します。デビュー前は普通に会社勤めをしておりました。映画業界で映画バイヤーや渉外に関わる仕事に10年ほど携わっておりました。もともと映画が好きで、...

【第19回】駆け出しのころ「出来心と前髪のない女神に導かれて」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 通訳学校に入ったのは、間もなく38歳になろうという秋でした。 その4年ほど前、転勤族の夫と結婚するため、定年まで安泰のはずの公務員を辞めて上京しました。バブル期に東京で会社員をしていたこともあり、東京で仕...

【第18回】駆け出しのころ「失敗もすべて糧になる」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 「通訳の仕事をしています」というと、「じゃあ英文科ですか?」と聞かれることも多いのですが、初めから通訳という仕事を目指していたわけではありません。大学は法学部、大学院では古いギリシャ語の聖書写本から原文に近...

【第17回】駆け出しのころ「子育てを終えて翻訳者から通訳者に」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** ~Ignorance is bliss. 知らぬが仏~ 私が通訳者になりたいと思ったのは実は50歳を越えてからのことです。それ以前は大阪外国大学を卒業後にロンドン大学に留学、そのままロンドンの日系商社に就職...

【第16回】駆け出しのころ「あの甘酸っぱさ、あの出会い、終わった瞬間のあの感覚」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 堀江貴文氏のスピーチが会場でこだましています。ブースに一緒に入っている先輩通訳者が堀江氏の通訳をしています。次のスピーカーは自分が通訳する番です。心臓の鼓動がドクンドクンと耳に響きます。手には大量の汗。堀江...

【第15回】駆け出しのころ「『なんちゃって通訳』からの脱却」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 「お前は留学して通訳になれ」中学一年の時の担任の先生のこんな言葉に予言されたかのように私は高校時代にアメリカに留学し、その後、通訳者となりました。でもそれは決して平坦な道のりではありませんでした。 英語が...

【第6回】駆け出しのころ「30年かけて夢に近づく」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** いつから通訳に憧れたのかなと振り返ると、中学時代に遡ります。ピアニストを夢見た時期もありましたが、高校進学の際に断念。というのも、三重県のド田舎に住んでいたため、志望校に通学するには片道2時間もかかりピ...

【第12回】通訳なんでも質問箱「 不利な契約条件は交渉するべきか」

「通訳なんでも質問箱」は、日本会議通訳者協会に届いた質問に対して、対照的な背景を持つ協会理事の岩瀬和美と関根マイク(プラスたまに特別ゲスト)が不定期で、回答内容を事前共有せずに答えるという企画です。通訳関係の質問/お悩みがある方はぜひこちらからメールを。匿名で構いません。 Q.エージェントに登録する際、業務委託契約書に署名することを求められるのですが、フリーランス・個人事業主は立場が弱く、不利な...

保護中: 【第24回】製薬業界の通訳「臨床薬理の通訳Ⅱ」

【会員限定コンテンツ】 第24回の今回は、前回に引き続き臨床薬理(clinical pharmacology)に取り組んでみたいと思います。 前回触れたように、薬物が作用部位(site)に達して効果(efficacy)を発現(express)するためには、全身循環血(systemic circulating[circulatory] blood)中に到達することが前提です。薬理作用(p...

保護中: 【第13回】通翻訳者が知るべきBrexit「Backstop」

【会員限定コンテンツ】 2017年6月9日の朝、悪夢のような総選挙結果を受けて、テリーザ・メイ首相は官邸の前に立ちスピーチを行った。やらなくてもよい抜き打ち選挙をやって有権者の支持を失い過半数割れを引き起こしたリーダーの選挙後スピーチである。当然辞任の発表だろうというのが大方の予想だった。しかし、メイはまるで何事もなかったかのように、「10日後に始まるBrexit交渉を率い、離脱を実現する」...

保護中: 【第3回】あの通訳研究って、実際どうなの?「Powerful Style, Powerless Style ― 言語とジェンダーの関係について」

【会員限定コンテンツ】 皆さん、ご無沙汰しております。年初から報道されていたコロナウイルスがあっという間に猛威を振るう状況となり、晴れやかな気持ちになれない日々が続いています。緊急事態宣言も発出され、日常生活も自由が利かなくなっている方もいらっしゃるかと思います。本来なら桜を愛で、なんとなくウキウキした気分になったはずですが今年はそんなわけにもいきません。いわゆる「巣ごもり」状態の方々も多い...

保護中: 【第20回】放送通訳の世界「使命感について考える」

【会員限定コンテンツ】 「イギリスで働きたい」との思い一筋で、放送通訳の経験が全くないままBBCの仕事を始めました。1998年6月のことです。通訳業務そのものにはある程度携わっていたとは言え、テレビ局の社会科見学すらしたこともなかったのです。「採用されたのは運が良かったから」としか言いようがありません。あれから20年以上が経ちます。今では放送通訳以外は考えられないほど、こよなく愛している仕事...

【第5回】駆け出しのころ「変わり種の通訳者」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 「この人、カッコイイ! 俺もこの人みたいにペラペラ喋りたい!」当時12歳の少年はテレビに映るその人を見て、通訳という仕事を知り、通訳者になることを決意しました。そこに映っていたのは、ある有名なハリウッド...

【第4回】駆け出しのころ「回り道の末に」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** フリーの通訳者として働き始めたのは、ほんの数年前のことです。すでに40代半ばを過ぎていました。通訳者になることを夢見たこともなく、当然、通訳学校に行ったこともなければ、社内通訳の経験もありませんでした。...

【第3回】駆け出しのころ「昨日より今日、今日より明日」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 「通訳者になりたい。」ぼんやりだけどそう思ったのは高校生の時でした。 きっかけは覚えていませんが、学校の授業で英語が得意で、英語を使って仕事がしたいと思った、そのくらいの気持ちだったと思います。あれか...

【第2回】駆け出しのころ「音楽の都ウィーンでのデビューからワイン通訳になるまで」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 現在はほぼ英語オンリーの会議通訳をしていますが、通訳デビューは音楽の都ウィーンでのドイツ語通訳でした。エアコンのないヨーロッパを猛暑が襲った2003年、あの夏のことは今でも鮮明に覚えています。 夏...

【第1回】シリコンバレー徒然通訳テクノロジーだより「用語をまとめて単語帳アプリで活用する方法」

初めまして!米国サンフランシスコ・シリコンバレーを拠点に活動しているフリーランス会議通訳者の黒田玄と申します。 カリフォルニアは外出禁止令が出て1か月、「活動している」なんて言うとJAROに怒られそうですが…。この時期に精力的にオンラインセミナーなどを開催して下さる JACI の関係者の皆様にお礼を申し上げたいと思います。期せずして訪れた閑散期、通訳者にも通訳者以外の方にも便利で身近なテクノロジ...

【第1回】駆け出しのころ「落ちこぼれからドヤ顔へ」

「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 高校2年生の時にオーストラリアの高校に1年間留学しました。留学期間中、日本語では表現できるけど英語で何と言えばいいのか分からない、そんな場面に何度もぶち当たりました。「英語で何て言えばいいのだろう?」と...

【第23回】通訳者・翻訳者の子育て「家庭で育てる世界への興味」

(執筆・通訳者 菱田奈津紀) 我が家は日本人の夫と私、10歳と7歳の娘の4人家族です。通訳という職業柄、「家でも子どもに英語を教えているの?」とときどき尋ねられますが、我が家の英語教育はのんびりしています。日本語環境にいながら、幼いころから家庭で本格的に英会話を教えるとなると、親の側に相当な努力と根気が必要なのではないでしょうか。残念ながら、私はそのようなものを持ち合わせておらず、娘たちから...

【第1回】カイシャの中身「購買」

みなさんこんにちは。日本会議通訳者協会の会員、白倉(しらくら)です。企業勤務経験が長かったので「オマエもそれをネタに何か書け」というプレッシャーを1年近く協会の理事から受け続けて少ない髪がさらに少なくなりました。数回にわたって企業内各部門の働きを書いていきます。よろしくお願いします。 *** 現在はコロナウイルスのため経済活動が大きな制約を受けていますが、昨年2019年の通訳需要は旺盛でした。...

【第28回】ガジェット天国LIVE!レポート(Part 2)

2.ペーパーレス プリンターを紹介した舌の根も乾かぬうちに・・・今度は「ペーパーレス」について(笑)。iPadなどのタブレット端末の活用とソフトウェアやアプリについて取り上げました。 ここは、皆さんもかなり研究されている領域のようで、チャットでも活発に書き込みがありました。《プレゼンの最中にチャットも見ながら進行できたら良かったのですが、先程も書いたように、スライドショーでプレゼンを共有し...

保護中: 【第23回】製薬業界の通訳「臨床薬理の通訳Ⅰ」

【会員限定コンテンツ】 第23回と第24回の2回に渡って、臨床薬理(clinical pharmacology)に取り組んでみたいと思います。 臨床薬理で要になってくるのが、第2回「臨床試験」でも言及した体内動態(pharmacokinetics;PK)です。PKは大きく分けて ①吸収(absorption)、②分布(distribution)、③代謝(metabolism)、④排泄(...

【第4回】チャーリーの金融英語「『スラック』から考える失業率 (その3)」

金融翻訳者のチャーリーこと鈴木立哉さんが、様々な金融用語の背景を紹介し、翻訳者としてどのような思考過程で訳語を考えたのかを解説する連載(不定期)の第4回です。プロの思考法をお楽しみください! ※前回までの記事はこちらからご覧ください。 第2回 「スラック」から考える失業率(その1) 第3回 「スラック」から考える失業率(その2) スラック3―働いていない人々をすべて含めて考...

【第8回】翻訳・通訳会社のクレーム処理「遠隔通訳のクレームⅡ」

翻訳・通訳会社は、翻訳者・通訳者には見えない舞台裏で様々なクレーム処理を行っています。本連載は目的は、その一部を紹介することで、翻訳・通訳会社が日々取り組む業務に関して理解を深めてもらうことです。執筆は現役の翻訳・通訳会社コーディネーター。登場人物はすべて仮名です。 オリンピックも延期となり通訳業界は不安定な状況が続いております。前回に引き続き続きまして、遠隔通訳に関するコラムをお届...

【第10回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「プレゼントの選び方」

フリーランスの通訳者というのは、ある意味「気楽さ」があると私はとらえています。大学卒業後の私は民間企業に勤めていましたが、その時に一番つらかったのが「朝のラッシュ」。私が当時暮らしていた実家はラッシュのひどさで悪名高く、早めの電車に乗っても、なかなか座れないという状況でした。さりとてガラ空きの始発に乗るほど早起きではありませんでしたので、必然的に毎朝押しつぶされながら出社していました。会社到着の時...

保護中: 【第7回】通訳ブースは宝の山「トランプの一般教書演説、大統領選、そして新型コロナウィルス」

【会員限定コンテンツ】 2020年2月4日、トランプ大統領が連邦議会の上下両院の議員に向け、一般教書演説(日本の施政方針演説に相当する)を行なった。英語ではthe State of the Union addressという。Stateは状態、the Unionはアメリカ合衆国を指す古い言い方なので、the State of the Unionの本来の意味は「アメリカの現状」である。大統領が国...

【第1回】トップの通訳「外国人社長付き通訳者の仕事」

こんにちは。日英会議通訳者の菱田奈津紀です。三寒四温の頃が過ぎ、春の陽気を感じる季節となりました。想定していた繁忙期は、世界的なウイルス感染拡大によって失われ、通訳業界も漏れなく大打撃を受けています。このような中、Zoomを活用した遠隔セミナーや朝活などで、通訳業界を盛り上げてくれるJACIに改めてお礼を申し上げたいと思います。私も皆様に刺激を頂いて、自分の通訳訓練法を見直したり、以前購入してあっ...

保護中: 【第12回】通翻訳者が知るべきBrexit「Meaningful Vote」

【会員限定コンテンツ】 世界中どこも同じだろうが、この1ヶ月というものUKのニュースはコロナウイルス(※1)ほぼ一色だ。1ヶ月前にはまだ対岸の火事扱いで、英国でも症例が出てきたにもかかわらず、しっかり手を洗えという注意も無視する人が多かったが、国内で感染が広がり、イタリア、スペイン、フランスで相次いで緊急措置が取られたことで一気に雰囲気が変わった。政府の慎重な対応方針がかえって危機感を増幅し...

【第8回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「大学院でサバイバル!の巻①」

新型コロナウイルス 、大変な状況になっています。フリーランスの方々は皆同じだと思いますが、2月半ばから3月にかけての普段なら「うれしい悲鳴♪」のミニ繁忙期が、キャンセルに次ぐキャンセルで、あっという間に超スーパー閑古鳥。フリーランスという看板を抱えた失業者にとなってしまいました。 さて、前回このコラムを書いたのは2019年の暮れでした。それからお正月がやって来て、瞬く間に去り、「行く前から帰りた...