保護中: 【第17回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」 夢は歌って踊って日中友好すること 踊りや歌に浮かれている時もあった。 「お店にあなたによく似た方がおられましたね。お兄さん?それともご親戚ですか?…」、訊かれたとたんにわたしはもう顔がポーっと熱くなった。 問いかけたのは、アジア舞踊とくにインド舞踊を中心とする榊原舞踊団を率いる榊原氏。わざわざ書店に訪ねてこられ、たまたまかれと顔を合わせたのだった。 わたしはその後数か月間...
保護中: 【第6回】日米同盟:防衛協定からグローバルパートナーシップへの道のり「日米同盟の再定義:冷戦後の秩序の模索」 【会員限定コンテンツ】 本連載は、戦後の対日講和から1990年代まで10年間ごとに整理し、2000年以降は各米大統領の政権ごとに日米同盟がどのように変化したか、そして、今後インド太平洋地域が地政学的に最も重要な地域となる中で、日米同盟が地域の平和と安定に貢献するための課題や日本を取り巻く多国間関係を紹介する。 第6回となる今回は、冷戦が終焉し、ソ連が消失・弱体化する中で、日米同盟がど...
第6回JACI特別功労賞 受賞者コメント 長井鞠子 この度、日本会議通訳者協会からJACI特別功労賞をいただく、と聞かされ、私のようなものがいただいても良いのだろうか、と本当に思いました。 とはいえ、私は現役の日英会議通訳者としては最高齢の数人になっているのは確かで、長年続けて通訳者としてやってきたことに対する「頑張ったね」賞をくださるのかも、と思い直し、同じ世代の日英通訳者の代表として有り難くお受けすることにいたしました。 ...
保護中: 【第16回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」 第三章 中国再訪、青春の想い出 武漢広州日本商品展覧会 帰国して四年余り経った1957年の暮れ、再び中国を訪れる機会に恵まれた。北京と上海で開かれた日本商品展覧会に続き広州と武漢でも展覧会が開催されることになり、その準備段階から展覧会終了まで半年以上に及ぶ中国滞在の予定である。展覧会事務局で出品物リストの作成などのアルバイトをして数か月、訪中の朗報にわたしの心は躍った。 幼...
保護中: 【第43回】放送通訳の世界「交代のタイミング」 【会員限定コンテンツ】 「通訳者が一度に集中できる時間は何分?」 このような問いを私は通訳講座の冒頭で投げかけることがあります。返ってくる答えは実に様々。「3分」「5分」から「30分」「60分」など、幅広いものでした。 では具体的にどうでしょうか?確かに「3分」なら、どれほど難解な内容でも、とりあえず3分頑張って訳せば交代してもらえます。が、3分経てばまた自分の番が回ってく...
【第1回】通訳留学奮闘記~梨花女子大学校通訳翻訳大学院編~「アラフォーの新人ですが大学院留学に挑戦します」 34歳でハングル文字から韓国語学習をスタートさせ、40歳になる今年、韓国の通訳翻訳大学院に留学することになりました――。 このように話を切り出すと、なぜ韓国語? なぜ通訳? なぜ大学院? なぜ留学?……などと絶えず質問をいただくのが、もはやルーティーンのようになっています。 私・中村かおり(なかむら・かおり)は2023年3月から韓国ソウルの梨花女子大学通訳翻訳大学院(修士課程・韓日通...
保護中: 【第5回】この台詞に注目!映像翻訳の楽しみ方『バッドガイズ』 【会員限定コンテンツ】 映像翻訳者の松本陽子です。配信作品を中心に字幕翻訳と吹替翻訳を手がけています。映画を見るのが大好きで、2022年は映画館で190本ほど鑑賞しました。動画配信サービスでも多くの作品を見るなかで、すばらしい訳に出会い、「この見事な技術を身につけたい」と思ってきました。そんな日本語訳を、ご紹介します。 第5回の作品は『ボス・ベイビー』などを手掛けてきたユニバーサル・...
「通訳デビュー!体験記~久保舞菜美」 自己紹介 みなさん、はじめまして。立教大学 異文化コミュニケーション学部3年の久保舞菜美と申します。大学では主に通訳、翻訳を勉強しており、学部の通訳者・翻訳者養成プログラム修了に向けてがんばっています。また学部生、院生が実際の通訳、翻訳のプロジェクトに取り組むサービスラーニング RiCoLaSにも在籍しています。将来はプロの通訳者になることが夢です。 きっかけ 本稿では現場デビ...
【第10回】手話通訳士への道「未熟な社会と未熟な私 Vol.1」 手話通訳を公の働きとして位置づけている手話通訳制度について第6回で紹介しました。 そして、第8回、9回で、憲法の描く社会像と未熟な個人意識、社会意識による現実の姿を考えてみました。 私たち手通訳の担い手は、制度的な位置づけから、より憲法に規定する人権、自由の守り手であり、平等の実践者であることが求められます。 私たち手話通訳の担い手の働きが、目指す社会像と現実の姿のはざまで展開...
保護中: 【第15回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」 京劇代表団日本各地で公演 大学入試に失敗して落ち込んでいたのも束の間、次々と仕事が舞い込んできた。 貿易代表団に続き、1956年5月には中国訪日京劇代表団が来日。 京劇の名優梅蘭芳(メイランファン)を団長とする大型代表団で、朝日新聞社と日中友好協会の招待で実現した。5月下旬から53日に及ぶ日本滞在中、各地で計32回の公演が行われた。 訪日公演のパンフレット1956年朝日新...
保護中: 【第5回】日米同盟:防衛協定からグローバルパートナーシップへの道のり「日米同盟の幻想:冷戦構造の終焉による日米間の問題の露呈」 【会員限定コンテンツ】 本連載は、戦後の対日講和から1990年代まで10年間ごとに整理し、2000年以降は各米大統領の政権ごとに日米同盟がどのように変化したか、そして、今後インド太平洋地域が地政学的に最も重要な地域となる中で、日米同盟が地域の平和と安定に貢献するための課題や日本を取り巻く多国間関係を紹介する。 第5回となる今回は、再び米ソ対立が激化し、新冷戦と呼ばれた1980年代にお...
保護中: 【第14回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」 中国への熱い想い 中国から帰国して一年余り、わたしの中国への想いは深く、中国語に飢えていた。高校に在籍しているものの、学校の勉強よりは夜間の倉石中国語講習会(日中学院の前身)などに行って聴講するなど、むしろ中国語を忘れまいという気持ちのほうが強かった。おそらく陳東海先生の授業だと思うが、老舎の『駱駝(らくだ)の祥子(しゃんず)』を朗読された時の美しい北京語(標準語)がいまでも耳にやさしく響...
保護中: 【第12回】あの通訳研究って、実際どうなの?「重力モデル(The Gravitational Model)と可用性(Availability)」 【会員限定コンテンツ】 2023年を迎え、既に2ヶ月目になりました。暦の上では既に春ですが、まだまだ寒い日が続いています。コロナ対策にも変化が見えるようになり、5月にはマスクを外すことが出来るかもしれません。 このようにウィズコロナ生活も浸透しつつあるようで、ヒトの動きも戻ってきています。ヒトが動けば、モノもカネも情報も動きます。様々な経済活動も活発になってきたところで会議の数も増加...
保護中: 【第3回】映像翻訳家インタビュー チオキ真理さん「PART3:翻訳者の心構え」 ―真理さんが翻訳の勉強を始めてから、今にいたるまでの経緯を教えていただけますか? チオキ 最初に学んだのはフェローアカデミーです。入門クラスで半年ほど学び、試験を受けてゼミに入れてもらいました。1年半いて、先生の下訳をさせてもらえるようになって。ただ今後、自立に必要であろう新人らしい仕事には繋がらなかったので、JVTAに入ったんです。当時は半年通えば翻訳者として登録できて、特典の仕事とか新...
保護中: 【第3回】映像翻訳家インタビュー チオキ真理さん「PART1:中堅の星」 インタビュー3人目は、私が勝手に“中堅の星”と呼ぶチオキ真理さん。字幕と吹替の両方を手がけ、『メッセージ』『ムーンフォール』といったSFから、『コミ・カレ!』のようなコメディ、『クーリエ:最高機密の運び屋』といった歴史サスペンスまで、幅広く手がけています。『ブラックパンサー』の女性言葉を避けた字幕が、画期的だと注目を浴びたことも記憶に新しいのでは。同じ勉強会仲間でもある岩辺が、今回も映像翻訳者の...
保護中: 【第42回】放送通訳の世界「理想的な作業環境は?」 【会員限定コンテンツ】 通訳者としての働き方も近年変わってきましたよね。決定的だったのはやはり新型コロナウィルス。かつて対面で行われていた案件が中止またはオンラインになりました。私も急遽、ZOOMの使い方を覚え、自宅から接続して同時通訳をすることに。パートナーとの交代はLINEでの合図。同時通訳というのは慌ただしい作業ですので、とりあえずLINEでご本人と「お友達」状態になり、本番中は交...
保護中: 【第3回】映像翻訳家インタビュー チオキ真理さん「PART2:ブレインストーミングとお守り」 ―『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』(以下『ユダ&ブラック・メシア』)について、おうかがいします。ワーナー・ブラザースの公式サイトが公開している動画の字幕の一部を、松本さんがエクセル表にまとめてくれました。演説のシーンですが、そのあとのシーンも含めて見応えがありますよね。(動画、公開は2023年1月時点) 『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』無料本編10分映像 エ...
保護中: 【第4回】この台詞に注目!映像翻訳の楽しみ方『ザ・メニュー』 【会員限定コンテンツ】 映像翻訳者の松本陽子です。配信作品を中心に字幕翻訳と吹替翻訳を手がけています。映画を見るのが大好きで、2022年は映画館で190本ほど鑑賞しました。動画配信サービスでも多くの作品を見るなかで、すばらしい訳に出会い、「この見事な技術を身につけたい」と思ってきました。そんな日本語訳を、ご紹介します。 第4回の作品は高級レストランを舞台にしたダークなコメディ映画で、...
【第1回】安全保障と防衛の日英通訳「防衛3文書―防衛大綱から防衛戦略へ」 昨年末、日本政府は防衛3文書の改定を閣議決定し、国家安全保障戦略において防衛力の抜本的強化を打ち出しました。この改定により、戦後の安全保障政策は大きく転換することとなります。以降、毎日のようにメディアにも取り上げられる日本の防衛政策ですが、通訳の世界でも防衛関連の通訳需要は高まっています。この連載は、日本の安全保障政策や防衛体制のこれまでと今をまとめながら、防衛関連の日英通訳をする上で知るべき用...
【第9回】手話通訳士への道「『公』の働きを鈍らせる意識 Vol.2」 前回は、障害者に対する意識を未熟な個人意識、社会意識とに分けて取り上げてみました。 今回は、そんな社会の一端を取り上げ、考えたいと思います。 ●憲法の描く社会像との乖離 さて、私の食う、寝る、風呂など生活時間以外での時間の大半は、社会福祉領域での活動になっています。 社会福祉領域の暮らしというと、憲法25条第2項に代表される国家の役割をイメージする方が多いと思いますし、私...
保護中: 【第13回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」 第Ⅱ部 帰国、通訳の道へ 第一章 緑の島―日本 舞鶴 「10月10日 天津発 塘沽新港より高砂丸に乗船 14日 京都舞鶴着 引揚援護局宿泊所に泊まる」(父のメモより) 1953年10月14日付け『朝日新聞』夕刊は、「高砂丸、舞鶴に帰る」というタイトルで次のように報じている。 「第七次中共帰国船高砂丸は、塘沽から帰国者1493人(う...
保護中: 【第4回】日米同盟:防衛協定からグローバルパートナーシップへの道のり「日米同盟の成熟:相互不信の克服」 【会員限定コンテンツ】 本連載は、戦後の対日講和から1990年代まで10年間ごとに整理し、2000年以降は各米大統領の政権ごとに日米同盟がどのように変化したか、そして、今後インド太平洋地域が地政学的に最も重要な地域となる中で、日米同盟が地域の平和と安定に貢献するための課題や日本を取り巻く多国間関係を紹介する。 第4回となる今回は、ニクソン政権による外交・経済面でのショックによる日米相...
【第21回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「やらないことを決める」 2023年になりました。昨年も本コラムをお読みくださりありがとうございます。本年もみなさまにとって少しでもお役に立てるような情報を執筆したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします! さて、新年と言えば気分も心機一転。色々とヤリタイコトも出てきますよね。私は手帳の余白ページに「やりたいことリスト」を設けています。買いたいもの、観たい映画や美術展、出かけたい場所等々です。特に期限を設...
保護中: 【第9回】シリコンバレー徒然通訳テクノロジーだより「今からでも間に合う! Zoom RSI 基礎編」 【会員限定コンテンツ】 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。アメリカは10月から年末にかけてハロウィン、サンクスギビング、クリスマスと毎月イベントが続き、一気にホリデーの雰囲気になります。しかし、新年は元旦のみが祝日で2日からは平日になるため、三が日のお正月気分を味わいたい私としては物足りない気がして、お正月はやはり日本で過ごすのが良いなと思いました。次に新年に日本に行く機会が...
保護中: 【第12回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」 第六章 帰国の途へ “再見(ザイジェン)!長春(チャンチュン)”「逢うは別れの始まり」、とうとう別れの時が来た。1953年8月、わずか二年余りで附中の先生や級友たちと別れることになった。 別れに際し父に連れられて大学の成仿吾校長のところに挨拶に行った。何を書かされたか覚えていないが、先生はわたしの字をじっと見て「なかなかいい字を書くじゃないか、でも日本に帰ったら字の崩し書きに注意しな...
【第11回】チャーリーの金融英語 「二つの『デカップリング』(後編)」 (執筆:2022年12月30日) 前編はこちらから 3.米中分離論としての「デカップリング」 2009年以降、幻想の「デカップリング論」が衰退するとともに、次のような「デカップリング論」が目立ち始めた。 記事10:(欧米の)中国からの「デカップリング」 The Western decoupling from China is accelerating across ...
【第10回】チャーリーの金融英語 「二つの『デカップリング』(前編)」 (執筆:2022年12月30日) インターネットの発達によって、古い情報が更新されないままに残っていたり、新しい意味と古い意味が入り混じって使われてきたりしたためにやや混乱している人も多いのではないか。「デカップリング?あれ、なんだったっけ?」。そう思って検索してみる。ニュースソースを調べない通訳者や翻訳者はいないだろうが、ではあなたは、今自分が「検索」し、情報源を確かめた「その情報」が「...
【第3回】この台詞に注目! 映像翻訳の楽しみ方『その道の向こうに』 映像翻訳者の松本陽子です。配信作品を中心に字幕翻訳と吹替翻訳を手がけています。映画を見るのが大好きで、2022年は映画館で190本ほど鑑賞しました。動画配信サービスでも多くの作品を見るなかで、すばらしい訳に出会い、「この見事な技術を身につけたい」と思ってきました。そんな日本語訳を、ご紹介します。 第3回の作品は『ミッドサマー』などのA24が製作した映画で、字幕翻訳は伊藤美和子さん、吹替翻訳...
保護中: 【第11回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」 第五章 東北師範大学附属中学校 ―師生(シーション)情(チン)、同学(トンシュエ)情(チン) 水を得た魚1951年3月、裕子とわたしは市二中から長春の東北師範大学附属中学校(以下、附中と略称)の三年八組に転入した。二人の父親が師範大学の教員で、家からも近く、通うのに便利だったことなど転校の理由はいろいろあったと思う。附中は、1949年10月1日新中国が成立して一年足らずの1950年9月、戦...
【第8回】手話通訳士への道「『公』の働きを鈍らせる意識 Vol.1」 前回は、公の働きとして位置づけられている手話通訳制度を紹介しました。 なんとなくですが、第3回、第4回で個人意識と社会意識についてイメージできるよう触れています。 今回は、これまで触れていることをもう少し深め、次回につなげたいと思います。 特に、障害(者)に対する社会意識、個人意識です。 ●社会意識 ろう運動が作り上げた社会意識が反映し、手話通訳事業が法制化され「...