【JIF2023】グレゴリー・ケズナジャット「翻訳と創作の間」
グレゴリー・ケズナジャット
作家、文学研究者。2017年、同志社大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期課程修了。現在は法政大学グローバル教養学部にて准教授。2021年、「鴨川ランナー」にて第2回京都文学賞を受賞。最新作「開墾地」が第168回芥川龍之介賞の候補となる。両作品とも講談社から単行本として刊行。
翻訳と創作の間
通訳と翻訳の行為に携わる者の経験をいかに描けるのか。異なる言語が複雑に絡み合い、普段は共通認識によって覆い隠される食い違いや矛盾が可視化するその現場は創作の対象として魅力的であり、通訳と翻訳が多くの人にとって身近な概念となりつつある現代において、小説に登場することもしばしばある。しかしディスコミュニケーションや意義の揺らぎなど、言語の狭間に生じる事象を、言葉をもって表現すると様々な課題が現れる。本講演では、こういった課題を検討し、その上で翻訳と創作の曖昧な関係を考察する。