【JIF2025】松下佳世「AI時代の通訳戦略:技術革新とキャリアの未来図」

松下佳世
立教大学異文化コミュニケーション学部・研究科教授、日本会議通訳者協会(JACI)認定通訳者
会議通訳者としての通訳実践に基づく通訳研究が専門。近年では、テクノロジーが通訳と通訳者に与える影響に着目した研究に重点を置いている。2018-22年 日本通訳翻訳学会理事、2020-22年 同学会関東支部長。立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士後期課程修了(異文化コミュニケーション学博士)。 本人も忘れかけているが、元朝日新聞記者。著書にWhen News Travels East: Translation Practices by Japanese Newspapers (Leuven University Press)、『通訳になりたい!ゼロからめざせる10の道』(岩波書店)、JACIメンバーと共同で出版した編著に『同時通訳者が「訳せなかった」英語フレーズ』(イカロス出版)がある。インターネット講座「基礎からはじめる通訳トレーニング – 通訳訓練法と実践演習 -」を通じて、プロを目指す学習者の指導も行なっている。
AI時代の通訳戦略:技術革新とキャリアの未来図
AI技術が日進月歩で進化する中、通訳業界も大きな変化の波にさらされています。皆さんの中には、「AIが仕事を奪うのでは?」「これからの通訳者はどうあるべきか?」と、不安や疑問を感じている方も少なくないのではないでしょうか。本講演では、講演者自身の最新の研究成果を踏まえつつ、これからの時代に求められる通訳者の戦略について考えていきます。まず、AI通訳技術が現在どこまで進化しているのかを、実際の事例を交えながら紹介します。その上で、人間の通訳とAIの通訳は何がどう違うのかを具体的に比較し、AIの進化がクライアントやエージェントのニーズをどのように変えつつあるのかを概説します。講演の後半では、AI時代に人間の通訳者が生き残るためのキャリア戦略について掘り下げます。AIには(少なくとも現状では)真似できない、人間ならではのスキルの磨き方だけでなく、AIをうまく活用して通訳業務をより効率的に行う方法についても紹介します。海外での動向も見据えながら、日本の通訳業界がこの変化をどう受け止め、どのように対応していくべきかを、ともに考える機会にしたいと思います。