【JITF2022】JACI特別功労賞記念講演 神崎多實子「中国語を生涯の友として」
神崎多實子(かんざきたみこ)
東京都生まれ。幼年期に中国へ渡航、1953年帰国。都立大学附属高校(現桜修館)卒。北京人民画報社、銀行業務などを経て、フリーの通訳者に。通訳歴60年余り、元NHK・BS放送通訳、サイマル・アカデミー講師。編著書:『中国語通訳トレーニング講座 逐次通訳から同時通訳まで』、『中国語通訳実践講座』、神崎勇夫遺稿集『夢のあと』(いずれも東方書店)
中国語を生涯の友として
思えば、長いマラソンコースを駆け抜けてきたような気がします。でもこの通訳マラソン、いつまで経ってもゴールはなし、多分「学びの道」に終わりはないということでしょう。
幼少期を「満州新京」で過ごし、やがて敗戦。その後解放戦争、新中国の誕生と変貌を遂げる中国を目の当たりにし日本に帰国、通訳の道へと進みました。常に悠久の歴史を持つ中国への畏敬の念を抱きつつ、日本と中国の狭間でその言葉、文化、社会を比較し、切磋琢磨してきました。とりわけ通訳者とは、人々との出会いを通して心の懸け橋となる職業といえましょう。
間もなく日中国交正常化50年を迎えます。しかし、昨今いささか風向きが変わりつつあるようです。いまこそ50年前に井戸を掘った先達を想い「小異を残して大同につく」べきではないでしょうか。 私が今日あるのは、母校、中国長春東北師範大学附属中学のお陰です。その旧友たちとは七十年の歳月を越えて今なおネットで繋がっています。「友情よ、永遠なれ!」、これが私の贈る言葉です。
※8月7日(日) 10:00-11:30 JST(一般公開セッション)