【第17回】通訳者・翻訳者の子育て「双子のバイリンガル教育(後編)」

(執筆:通訳者 平松里英)

海外移住を決めたきっかけ

私が子育てのために海外移住を決めた理由の一つは、英語がわかる私と、わからない子どもたちという状況になっていたこと。ある日、おもしろい映画だからと、モンティ・パイソンの『The Meaning of Life(邦題:人生狂想曲)』を借りてきたときのこと。私が爆笑している傍らで、子どもたちは2人とも完全にシラけているではありませんか。「これはまずい」―私のなかの日本語と英語の2つの世界のうち、片方を彼らはまったく共有していない、と焦りが。

もう一つは、娘が学校で「ガイジン」と言われるのことに悩んでおり、登校拒否寸前だったこと。長くなるので経緯は省略しますが、一時期オーストラリアの学校にも行かせたことがあり、日本の学校に比べると、いじめに対して明確に方針を打ち出していたことが衝撃でした。日本に限らず、いじめはどこの国に行ってもありますが、いじめに対する学校の方針が、いじめる側・いじめられる側・いじめを見ている側の全方向に対して「明確」にルール化され周知徹底されていました。結果的にはイギリスに移住することにしましたが、海外移住を決意した理由の一つです。

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