【第9回】通訳者・翻訳者の子育て「トライリンガルへの長い道のり(前編) 」
(執筆:翻訳者・通訳者 丸岡英明)
私はここ10年オーストラリア在住ですが、その前は台湾に10年間滞在していたため、海外生活はかれこれ20年になります。その間に、台湾人の妻との間に2人の娘が生まれました。私は、翻訳と通訳の両方の仕事をしていますが、仕事の9割は翻訳で、家にいる時間が比較的長く、子育てにも積極的に関わることができました。過去20年間、こうした経験の中で感じてきたトライリンガルの国際家庭での子育ての苦労について、前編(上の子・長女編)と後編(下の子・次女編)でお伝えしたいと思います。
連載で多くの方が触れているように、多言語の環境で育ったからといって、子どもが自然にバイリンガルやトライリンガルになるということはありえません。多くの場合は複数の言語の習得を諦めてしまい1つの言語しか習得できず、複数の言語が習得できた場合でもどちらかの言語が比較的弱くなってしまうことがほとんどで、最悪、どの言語もすべて中途半端になってしまうことさえあります。