【第17回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「手帳・ノートとの付き合い方」
記憶をたどると私が日記を付け始めたのは小学校2年生のとき。当時暮らしていたアムステルダム日本人学校補習校では児童の日本語力維持のため、「日記を毎日つけること」が課題でした。一方、初めて手帳を使い始めたのは中2でロンドンから帰国してから。公立中学校の「生徒手帳」がきっかけでした。以来、手帳および日記やノートとの付き合いは長きに渡ります。
今月の「ライフハックス」は年初ということもありますので、手帳およびノートについてご紹介しますね。
1. 長年愛用した手帳をやめた
10年以上、大手手帳メーカーの4月始まり手帳を使っていました。4月始まりの理由は、大学で非常勤講師をしており、年度カレンダーに合わせるためです。この手帳は月間カレンダーと週間カレンダーから構成されており、余白も豊富。今までの人生で一番長いこと使ってきました。
しかし、昨年末で「卒業」しました。理由は「より薄くて軽い手帳が欲しくなったこと」「月間カレンダーから週間カレンダーへの転記ミスを防ぎたいこと」「余白ページをあまり使わなくなってきたこと」の3点です。そこから「自分に合った手帳探し」が始まりました。
2. 「一冊のノートにすべてを書く」という考え方
随分前に奥野宣之さんの書籍「情報は1冊のノートにまとめなさい」を読みました。奥野氏はキャンパスノートにすべてを書き込み、時系列にすることで記憶しやすいと説いています。用途別にノートを作るのではなく、とにかく一冊にする、というのがカギでした。読後から数年経った昨年秋、元外交官・佐藤優さんの過去のインタビューに遭遇。氏もやはり「すべてを一冊のノートに書いている」と述べておられました。両者に触発され、私もノートを集約しようと思ったのでした。
3. まずはスタバの赤ノートを購入
去年の後半は色々と多忙で心身ともにいっぱいいっぱいの時期を過ごしていました。そこで「少しでも元気になれる色を」と考え、大好きなスターバックスのクリスマス限定A5リングノート(方眼タイプ)を購入。このノートとの出会いにより、「一冊に集約」の思いを強くするようになりました。
4. A5リングノートのメリット
購入時には意識していませんでしたが、A5リングノートは想像以上のメリットがありました。まず、適度な大きさであるので、思い切って書き込めます。B5ノートほど大きくないのでバッグにも収まります。リングなので表紙をめくれば十分な厚みとなり、立ったまま書いても安定感があります。また、メモ用紙としてページを簡単に切り取ることもできるのですね。
5. 手帳もA5サイズへ
リングノートを本格使用することに決め、手帳も同一サイズにしました。購入したのはレイメイの「マンスリー・ブロック2021年12月始まり」です。この手帳はシステム手帳の表紙の中に差し込んで使うタイプらしいのですが、「とにかく軽量重視」の私はそのまま持ち歩いています。カレンダー型でスペースが大きく、しかも2023年3月までありますので、大学の年度ともぴったり。薄いので机の上に広げたまま使えるのも助かりますね。書斎の机ではこの手帳を広げ、手前にリングノートを開いています。手帳でスケジュールを確認しつつ、作業を進める、というわけです。
6. 書き方について
こうしてスケジュール管理の手帳が決まりました。あとはリングノートをどう活用するかです。私が決めたのは以下の通りです:
*書き方のルールを細かくしない→ノート術などの本を読むと色々なハウツーが紹介されています。が、自分ならではのルールができればそれでOK。「ノート術の正解」を追求し始めると辛くなるので。
*ペンの色もこだわらない→多機能ペンを愛用していますが、どの色をどういう項目で使うかもあえて決めていません(その色が無くなったとき、ルールが使えなくなるので)。
*唯一決めているのは、「ページの始めから時系列で書いていくこと」→佐藤優さんも述べていますが、人間の記憶というのは時系列順になっているので、ノートそのものが時系列になっていれば、必ずノートの過去の記述を探し出せるとのことでした。
7. 通訳ノートからも卒業
リングノートを機に「通訳業務用ノート」からも卒業しました。かつて私は通訳ノートを使っていたのですが、これを思いきってリングノートに集約したのです。B5レポート用紙やキャンパスノートと比べるとA5は小さいですが、リングなので横向きにすればリング部分を上にした状態になります。こうすればレポート用紙のようにして使えます。
8. 何を書く?
ありとあらゆることを書き込みます。起床時間、食事内容、体重記録、日記、読書記録、電話記録、やることリストなどなど、とにかく「すべて」を記入しています。ちなみにこの原稿を書いているのは2022年1月9日ですが、原稿ネタをリングノートに書いたのは12月27日。ページの前後には「投函した年賀状リスト」や別業務のネタが箇条書きになっていました。
9. オマケ情報
「細かいルールは設けない」と先に書きましたが、唯一、こだわっていることがあります。それは「ノートに通しページ番号をふる」ことと、「ノートの右ページのみを使い続け、最終ページに到達したら上下をひっくり返して左ページを使う」ということです。私は右利きですので、リングノートを見開きにして左ページを最初から使おうとすると、リングが当たって痛いからなのですね。詳しくは以下の記事をどうぞ:
https://www.kokuyo-st.co.jp/mag/work/2020/10/000156.html
いかがでしたか?今月は手帳およびノートについてご紹介しました。みなさんにとって少しでも参考になれば嬉しいです。もちろん、手帳もノートも大事なのは「使う人にとって一番使い心地が良い方法で進めること」。まだまだ私自身、試行錯誤を続けていくつもりです。
柴原早苗(しばはら さなえ)
放送通訳者。獨協大学非常勤講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳業に従事。NHK「ニュースで英会話」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。