【第1回】通訳者・関根マイクの業界サバイバル・ガイド「通訳者の道具」
(執筆・関根マイク)
私が通訳者として現場デビューしたのは当時住んでいたカナダなのですが、もしあの時に日本在住だったら迷わず通訳学校に通っていたと今は思います。一定の経験を積んだ今だからこそ、バックボーンを持つことの重要性や、学校や仲間を通じて得られる情報の価値がわかるからです。要は、通訳学校に通わなくても通訳者になれたけれど、通っていたらもっと近道ができたかもしれない、と思っています。
その一方で、日本独特の考え方やアプローチが存在するからなのかわかりませんが、欧米の通訳養成機関で一般的に教えられていることが日本では必ずしも教えられているわけではない、という事実も把握しています。それはどちらかというと通訳技術から離れた実務的な部分の話が多く、たとえば最初はどのような道具をそろえるべきなのかとか、同時通訳パートナーとの調整をどう行うのか、職業倫理的な問題の扱い方、そして営業戦略などがあります。
本連載の目的は、これから現場デビューする通訳者のタマゴさんたち、またはデビューしたての通訳者さんが、通訳学校で必ずしも教わるわけではないけれど、通訳者として長く活動したいのであれば知っておくべき基本的な実務情報をまとめることです。目指せ、永久保存版!