【第6回】通訳者・関根マイクの業界サバイバル・ガイド「パートナーとの連携」
(執筆・関根マイク)
現場デビューすると、多くの現場で他の通訳者と協力して作業することが求められます。通常はエージェントが通訳者の役割分担を決めて、当日のスケジュール表に書き入れて通訳者に送ります。持ち時間で分担することもあれば、セッション別で分担することもありますが、エージェントの分担は絶対ではなく、現場の通訳者で微調整することも多々あります。特に仲が良い通訳者と一緒に組む場合は、最初から通訳者の方で分担を決めてしまうこともあります。
エージェントが決めたスケジュール表には、特に持ち時間で分担する場合は、A:佐藤、B:鈴木、C:田中というように書かれていますが、多くの場合、これはエージェントの評価順と解釈してよいです。エージェントとしては、もっとも安定感があり信頼できる通訳者(この場合はAの佐藤)をトップに配置することで、①案件を確実な形でスタートして、②通訳者Aの通訳回数を最大化する狙いがあります。この理由から通訳者Aは経験豊富な先輩通訳者である場合が多いですが、対象トピックの経験が豊富なのであればいわゆる中堅がベテランより先になることもあります。