【第3回】シリコンバレー徒然通訳テクノロジーだより「上手にググるには? 情報検索の精度を上げる方法 その1」
皆様お元気でお過ごしでしょうか。
外出禁止令の発令からなんとなんと3か月。みんな髪はボサボサだけどやればできる!
SNSを見ていると多くの人が自然回帰(?)して、花が咲いたとか鹿を見かけたとか自然ネタの投稿が増えている気がします。猫の額の我が家の庭にも小鳥が巣を作り、ヒナが孵って巣立っていくのを観察したり、廃棄寸前のジャガイモを植えてその育ちっぷりに驚いたり。映画館にもイベントにも買い物にも行けないと牧歌的な生活になるのね、なんて思っていたら、デモや抗議活動が起こり閉鎖中のモールで略奪行為などもあり色々と考えては落ち着かない日々でした。日本は経済活動が再開し現場での通訳案件なども復活しつつあると聞きますが、引き続き健康に気を付けて過ごして頂きたいと思います。
さて、通訳案件も戻り始めているという事で、今回はより良い情報検索のための基本的な技について書きたいと思います。
通訳の仕事は「準備が仕事の出来を左右する」「準備が9割」などと言われます。その準備に欠かせない「ググる」という行為。Google 検索の精度を上げ、よりよい準備を目指しましょう。では早速…
<おすすめ①>一度知ったら手放せない! 不要な検索ワードを除外指定 「–」
検索ワードには関連あっても、自分としては求めていない検索結果がズラッと出てきて、必要な情報を探し出すのに苦労している方に朗報です。検索ワードの前に半角の「-」を付けると、そのワードは検索対象から除外されます。
例えば企業投資関係の Investor Relationsの「IR」に関する情報を入手したいけれど、カジノを意味するIntegrated Resortの「IR」の情報は検索結果に表示しないで欲しい時には、
IR “Investor Relations” -カジノ–“Integrated Resort”
で検索して下さい。
ダブルクォーテーションの使い方については、おすすめ③をご覧ください。
<おすすめ②>どの検索ワードも欠かせない時には 「allintext:」
複数のワード A, B, C, D を検索した時に、そのうちの1つ2つが検索結果に含まれない場合もありますよ。検索結果の下の方に「含まれない:A」と表示されたのを見て、「Aを含めてくれないと困る!」という気持ちになる事はないでしょうか。ABCDの全てのワードを含む検索結果のみを求める場合には、
allintext:A B C D
と指定すると、そのうち1つでも含まれない場合にはヒットせず、必ず4つとも含まれる結果のみ返ってきます。
<おすすめ③>ドンピシャ文字列検索 「””」
少し長い文を検索すると、その中の名詞だけが検索される傾向があります。
例えば「グルメ芸能人XXおススメ〇〇市の牛肉の食べ放題レストラン」で検索した場合は、「○○牛☆食べ放題レストラン!」「○○牛レストラン」 ひいては「グルメ芸能人XX不倫」などの人気エントリーがヒットする可能性があります。
それでもOKな場合もありますが、何らかの理由でその文字列を一字一句変えずに検索したい場合は、以下のように文字列を半角のダブルクオーテーションマークで囲んで下さい。
“グルメ芸能人XXおススメ〇〇市の牛肉の食べ放題レストラン”
すると、完全一致した文字列を含む結果だけが表示されます。
空白の有無も検索し分けてくれます。例えば「Society 5.0」ではなく、間に空白の無い「Society5.0」を検索する場合には、
”Society5.0”
とダブルクォートを使うと空白を含む方はヒットしません。逆もまた然り。
私は資料にコピペされたと思われる文字列の出展を探す時や、気になった英語の言い回しが実際に使われているかを確認する時などに使っています。
<おすすめ④>特定のサイト内を検索 「site:」
ある会社のウェブサイト内の情報を検索したいのに、そのサイトに検索機能が無い場合やあってもうまく機能しない場合は、Google サイト検索の site: を使うとより良い結果が得られることがあります。また、表示された検索結果を並び替えるなどのオプションも使用できます。
例えば、ある企業が発信している電気自動車の情報を知りたい、かつ他の企業の情報は不要という場合は
電気自動車 site:CompanyName.co.jp
で、その企業内の情報だけを検索することが可能です。
また、クライアントなど特定の企業でどういう用語・訳語を使っているのかを調べる時にも便利です。
例えば、その会社では語尾を伸ばす「サーバー」を公式に使っているのか「サーバ」なのか調べたい場合には、
サーバー site:CompanyName.co.jp
と
サーバ site:CompanyName.co.jp
の両方を検索して確認するなどの使い方もできます。
政府機関の情報のみを検索したい場合は、検索用語に site:go.jp, site:gov などを付けます。例えばマイナス金利政策に関して日本の政府からの情報に絞って検索するには
マイナス金利政策 site:go.jp
で検索して下さい。
<おすすめ⑤>ニュース検索
クライアント企業について、新製品やプレスリリース等どんなニュースがあるのかを調べておくには、会社名や製品名などのキーワードを検索すると良いでしょう。
ニュースを検索するには、検索結果が表示されたら検索ウィンドウの下の「ニュース」をクリックするだけです。
IT企業の最新製品の情報などは、企業ウェブサイトを見ると「われらABC社が最新の○○テクノロジーで今までに無い△△で□□なXXを実現!」というような謎めいたカッコイイ新語が並んでいて、一体どんなテクノロジーなのか分かりづらいことがあります。そんな場合はニュースで社名を検索すると実は「クラウドセキュリティのABC社がデータセンターを開始」などのシンプルな話だったりします。一般的な言葉で書かれているニュースを読んで「なーんだ、そういう事ね!」と納得することもしばしば。
最新の雰囲気を演出して差別化を図るために既存の用語を避けたいIT業界ではよくある事かもしれません。ニュースは一般の人に伝わる既存の言葉で書かれているので助かります。
ちなみに、最近の新語「コロナ禍(か)」を「コロナ渦(うず)」と間違えて使う例が指摘されていますが
コロナ渦 -コロナ禍
でニュースを検索(=「コロナ禍」を含まない「コロナ渦」だけを検索)すると、「あの新聞社も、あの通信社も、コロナ渦と書いている~」とウォッチして楽しむことができます(笑) Twitter にはさらなる上位型「コロナ鍋」も散見されます。2020年の漢字は「禍」になるのでしょうか? 今年後半はもっと素敵な字に溢れて欲しいですね。
なお、上記の検索オプション部分はすべて半角で入力して下さい。- と ー を間違えたり、コロンやアルファベットが全角だったりすると、期待通りに機能しないのでお気を付け下さい。
他にも色々な検索方法がありますが、続きはまた来月改めて。
<おまけ>
今月のおすすめ家電はシャープの「超音波ウォッシャー」
洗濯もののシミや汚れに洗剤と水を付け、超音波をあてて泡が弾ける力で汚れを落とすペン(と言っても懐中電灯サイズ)みたいな便利家電。汚れがあってもゴシゴシこすらなくて済むため、上着の袖や汚れたスニーカーなども毛羽立ちません。ペン先部分(「ホーン」という名前のようです)が小さいのが玉にキズですが、小さいからピンポイントで洗えるのかもしれません。
これさえあれば、白シャツで食べるミートソースも焼き肉もカレーも怖くない! 小さいお子さんのいるご家庭でも重宝すると思います。
では皆様、次回までお元気でお過ごし下さい。
黒田玄 (くろだはるか)
慶応大学環境情報学部を卒業後、ソフトウェアエンジニアとして外資系IT企業の開発部門で働いていた時に業務上必要に迫られてやってみた翻訳が楽しくて語学の道へとキャリアチェンジ。 前職経歴やシリコンバレーという拠点の土地柄、スタートアップから大手までIT関係の案件、そして意外と多い製薬や医学関係の案件を中心に活動中。通訳仲間にテクノロジーの活用を広めることを喜びとしている。趣味: ダンス、サッカー、料理(やる気に波あり)、読書。