【第10回】通訳・翻訳学習記 東京外国語大学編「卒業式と今後の進路について」
皆さん、こんにちは。日本会議通訳者協会理事の佐々木です。
桜が満開になったかと思えば、急に寒い日が戻ってくるという寒暖差が大きい日々が続いてますね。体調いかがお過ごしでしょうか。
ついに、本連載も最終回となりました。今回は卒業式の様子と今後のキャリアについてお話したいと思います。
卒業式
3月の下旬に東京外国語大学の卒業式がありました。コロナ禍が続くなか、今回の卒業式が無事に行われたことが嬉しかったです。
卒業式には、袴を着て出席しました。袴にした理由は、入学したときに、入学式がなかったことに落ち込んでいて、そのさいに、同級生と卒業式は袴を着て出たいという話をしていたからです。
袴を着て卒業式に出席できて、本当に嬉しかったです。式終了後に記念撮影をしました。
この2年間、新型コロナウイルスの感染拡大で思うようにできないことも多かったですが、オンライン形式の実習や学外活動などを通じて、有意義な時間を過ごせたと思います。また、同級生の存在も勉強に対するモチベーションを高く維持できた大きな要因でした。入学時から高い通訳能力を有する同級生が居てくれたことで、彼らの良いところを学び、私の通訳に関しても様々なアドバイスを授業内外で得ることができました。先生方もオンライン形式の授業という、なかなか通訳に対するアドバイスや指摘をするのが難しい状況でも、的確かつ分かりやすい指導をしてくださいました。私の通訳における課題に向き合ううえで、先生方のアドバイスはとても役に立ちました。まだ課題を克服できてはいませんが、今後の仕事を通じて少しずつ改善していこうと思います。そして、通訳に関するアドバイスだけではなく、研究に関しても、丁寧に指導してくださったおかげで、良い研究をすることができたと思います。改めて、感謝申し上げます。
第1回でお伝えしたように、基礎を再度学びなおし、通訳能力を向上させようと思い、大学院への進学を決意しました。仕事を辞めるというリスクは大きかったですが、改めて、この決断をして良かったと心の底から思います。通訳能力は未熟ですが、大学院で学んだことを活かして、プロの通訳者として活躍できるように努力していきます。
最後に、今後のキャリアについて少しお話します。
今後のキャリアについて
上述したように、無事大学院を卒業しました。そして、先日、就職先も決まりました。
このコラムを皆さんが読んでいるころには働き始めていると思います。2年ぶりにはなりますが、再びITエンジニア兼通訳者として働きます。業務の中で、通訳が発生する場面もこれから多くあるため、この2年間で身につけた通訳能力を活かしてコミュニケーションの仲介者としての役割を全うしていこうと思います。IT業界を専門として通訳をしていくことで、業界内における自分なりの市場価値を見出していきたいです。
現在持っているキャリアビジョンとしては、今後20年程度、今の会社でITエンジニア兼通訳者としてスキルを磨きつつ、修士論文で取りあげた機械翻訳や遠隔通訳に関する研究も少しずつしていきたいと考えています。研究は平日の夜や週末の空き時間を活用して、学会でお世話になっている先生方と共同で実績を作ることができればと考えております。そして、20年後ぐらいには、研究者の方に軸を変えていき、通訳・翻訳研究の発展や後進の育成などにも関わっていきたいです。もちろん人生には様々なことがあるため、このキャリアビジョン通りにはならないかもしれませんが、今のところはこのような筋書きを描いています。また、現在は日本会議通訳者協会の理事であるため、もう少し通訳・翻訳業界に関わる皆さんにとって有益な情報の発信を増やしていこうと思います。
今回の連載はいかがでしたでしょうか。2年間の東京外国語大学での学生生活を全10回にわたってお届けしてきました。少しでも本コラムが皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。稚拙な文章であったかと思いますが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
佐々木勇介
JACI理事。東京外国語大学大学院修士1年。学部卒業後、ITおよび通信の会社2社で通算4年半、エンジニア兼社内通訳者として従事していた。趣味はイギリス発祥のスポーツであるクリケットと愛車のロードバイクで一人旅。