【第4回】通訳・翻訳学習記―東京外国語大学編―「1年生秋学期スタート」

皆様、こんにちは。日本会議通訳者協会理事の佐々木です。

2年生になり、あっという間に大型連休が終わりました。コロナ禍での2度目の大型連休、いかがお過ごしでしたか?

第4回の今回は秋学期と中間課題、年末年始のお話をしようと思います。

秋学期開始

 秋学期が始まった10月は幸い東京の新型コロナウィルスの感染者数が減少傾向にあり、東京外国語大学では一部の授業が対面形式で実施されることになりました。私の場合は通訳演習科目2科目と言語情報処理系科目1科目、そして英語演習科目が対面形式で行われることになりました。

 大学に通って授業が受けられる嬉しさがあった一方で、新型コロナウィルスに感染してしまうリスクがあるという不安も抱えながら、最大限の予防策をして授業を受けるようにしていました。

 秋学期に私が履修した科目は以下の通りです。

通訳演習科目: 3科目

言語情報処理系科目: 1科目

研究関連科目: 2科目

英語演習科目: 1科目

 それでは、秋学期の各授業の概要をお話していきます。

1.通訳演習科目

「逐次通訳ワークショップ(日→英)」

 春学期にも履修した科目ですが、秋学期は対面形式になったこともあり、今までのオンラインの授業で悩んでいた「その場で質問しにくい」という問題が解消されました。さらに春学期よりも逐次通訳だけではなくサイトトランスレーションの練習が多くなり、少しずつ2年生で履修予定の同時通訳演習に向けた練習も行われました。

 授業の流れは春学期とほぼ同様で、事前に単語リストが共有されるため、単語の意味とその週のテーマについてインターネット等で調べて背景知識を得るようにしていました。

 やはり対面形式になったことで、モチベーションがますます高まったことや先生も交えてのよりよい訳出を目指した議論が活発になりました。

「逐次通訳演習(英→日)II」

 こちらも春学期から継続して履修した科目になります。上記の「逐次通訳ワークショップ(日→英)」と同様にこちらも対面形式の授業になり、先生とも対面で初めてお会いすることができ、新鮮でした。対面形式になったことで、ホワイトボードでノートテイキングをして学生同士で比較してみるなど、より自分の通訳スキルの改善に役立つ内容が多かったです。

 授業の流れは春学期と同様に事前に単語リストが共有されるため、単語の意味とその週のテーマについてインターネット等で調べて背景知識を得るようにしていました。

「通訳実務」

 こちらも春学期から引き続き履修しました。この授業に関しては新型コロナウィルスの感染拡大のリスクを考慮して春学期と同様にオンラインでの実施となりました。

 授業に関しては、「逐次通訳ワークショップ(日→英)」と同様にサイトトランスレーションの演習が多くなりました。先生や同級生からのフィードバックもより今後の同時通訳演習に役立つものが多かった印象があります。上述の通訳演習科目と同様、単語リストの作成や背景知識の学習(インターネットでの検索)を行っていました。

2.言語情報処理系科目

「コーパス収集と分析のための言語処理技法(2)」

 こちらも春学期から続けて履修しました。この授業についても秋学期からは対面形式で行われることになりました。春学期はPythonを使用していましたが、秋学期は別のプログラミング言語による言語処理を学びました。

 授業の流れとしては春学期と同じく、先生がまずそのプログラミングで達成する目的と必要なコードをパワーポイントで示しながら説明します。説明を受けた後、実際にそのコードを入力して適切に目的を達成できるか確認します。もしエラーメッセージ等が出たときは先生に確認し、エラーメッセージの意味と対処方法を教えてもらうことで少しずつプログラミングの基礎を学んでいきます。春学期のオンライン授業ではパワーポイントの説明をしてすぐに実践する形で進めていましたが、秋学期は対面形式になったことで、先生が説明後に実際にそのプログラミングの仕方を実践してくださったため、内容を理解しやすくなりました。

3.研究関連科目

「通訳・翻訳学基礎研究2」

 こちらも春学期に引き続き履修しました。春学期に更新した「研究計画書」を元に先行研究の調査を行い、必要であれば、先生とオンラインで面談をするという流れでした。

「異分野交流ゼミ1」

 この授業では、異なる研究科の学生と研究に関する発表や先生方による講義を通じて、プレゼンテーション能力を習得します。いくつかのグループに分かれてプレゼンテーションやディスカッションを少人数で行いました。

4.英語演習科目

“English for Academic Purposes Fall Quarter”

 こちらも春学期から継続して履修しました。学ぶ内容は春学期とあまり変わりませんが、対面の授業になったことで、オンラインのときよりもディスカッションが活発になりました。

 また、リスニングをするさいにオンラインでは自宅のインターネット回線の関係で音割れや音が聞こえないなどの技術的なトラブルがありましたが、対面形式ではそのような問題が解決され、ストレスが軽減されました。

中間課題

 授業にもよりますが、秋学期は11月頃に中間課題、1月末頃に期末課題の提出または試験が実施されます。今回の中間課題も春学期と同様、多くの授業ではレポート課題が出されました。この期間はかなり課題に追われる日々を過ごしていました。

年末年始

 授業や課題をこなす日々を送った後、あっという間に年末年始を迎えました。年末年始は新型コロナウィルスの感染拡大が再度悪化していたため、実家には帰省せず、日本にいて初めて一人で過ごしました。

 年末は知人の通訳仲間の方々とオンラインで飲み会をしました。また、正月には雑煮を作って正月番組を見ながら食べました。この年末年始はこのように息抜きをしつつも、相変わらず自宅にて年明けの授業の準備や修士論文執筆に向けた先行研究の調査等に時間を費やし、毎日過ごしていました。

 今回は秋学期、中間課題そして年末年始までの大まかなお話をしました。次回は一年次秋学期期末試験、冬学期そして春休みのお話をしようと思います。

 まだまだ新型コロナウィルスの感染拡大で厳しい状況が続いていますが、皆様もどうか体調に気をつけてお過ごしください。


佐々木勇介
JACI理事。東京外国語大学大学院修士1年。学部卒業後、ITおよび通信の会社2社で通算4年半、エンジニア兼社内通訳者として従事していた。趣味はイギリス発祥のスポーツであるクリケットと愛車のロードバイクで一人旅。