【第7回】通訳・翻訳学習記 東京外国語大学編「2年次夏休みとオンライン課外実習」
皆さん、こんにちは。日本会議通訳者協会理事の佐々木です。
もう冬ですね。私は、相変わらず修士論文の執筆や授業で日々忙しく過ごしています。
今回は、夏季休暇とオンライン形式で行われた同時通訳の課外実習の概要をお伝えしたいと思います。
夏季休暇
今年の夏は昨年とは異なり、夏学期の授業がなかったため、長い休みになりました。
夏休みの前半は、日本会議通訳者協会主催の「日本通訳翻訳フォーラム2021」があり、司会など運営として活動がありました。フォーラム以外では、母校から留学に関するオンライン形式の講演を依頼されたり、研究でインタビュー調査を実施したりと慌ただしく過ごしました。
母校でのオンライン形式の講演は、在学当時から親しい方から突然連絡があり行う運びとなりました。久しぶりでしたが、自分が体験したことを今後留学したいと考えている在学生に伝えることは、母校に対する恩返しにつながると思い、引き受けました。講演は無事に終わり、参加した在学生からも参考になったというありがたい言葉を頂きました。
夏休み後半は、後述するオンライン形式で行われた同時通訳の課外実習、翻訳の仕事そして論文執筆などをしていました。忙しい日々でしたが、休む時間もありました。新型コロナウイルスの感染拡大が続いたこともあり、自宅で映画やモータースポーツのオンライン配信を観たりして、息抜きの時間ももてしました。
夏季休暇という割には慌ただしかったですが、充実した日々を過ごしました。ここからは、オンライン形式で行われた同時通訳の課外実習の概要についてお話します。
同時通訳オンライン課外実習
この課外実習は9月中旬に行われました。これは、東京外国語大学が地方自治体と連携して行っているもので、プログラムに参加している留学生へ日本語から英語への同時通訳を中心に対応しました。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、オンライン形式で地域活性化に関する講演や議論が行われました。参加したのは、東京外国語大学の学生や教員と東北地方にある四つの自治体関係者でした。このプログラムは三日間実施され、同時通訳はZoomの通訳機能を使用して行いました。一日目は地方自治体の担当者の講演を通訳しました。二日目は各自治体に分かれてグループディスカッションや地元の中高生と地方創生について意見交換がなされ、適宜同時通訳をしました。最終日は最初の二日間で議論したことを元に、東京外国語大学の学生が各自治体担当者に対して行うプレゼンテーションがあり、私が担当した自治体に参加する留学生の発表を英語から日本語に、また日本人学生の発表を他の自治体に参加している留学生に日本語から英語に同時通訳をしました。
このプログラムが開始される数か月前から、クラスメイトと各自治体やその地域について、勉強会やインターネットで情報収集を行いながら準備を進めました。一週間前に自治体から資料をいただいてからは、資料に目を通し、不明点や確認したい点があればメールで確認しました。また、当日も講演者の方と打ち合わせを行い、一番伝えたいメッセージが何であるか、話の流れなどを聞いて確認してから本番に臨むようにしました。
本番当日の一日目にトラブルで、急遽同時通訳から逐次通訳に切り替わるいう経験もしました。少し焦りましたが、臨機応変に対応し、その場を乗り切ることができました。こうした経験は実務において日常茶飯事であるため、今後につながる経験だったと思います。
この課外実習は、以前企業に勤めていたときの実務同様に、緊張感をもって通訳ができたと思います。来年また社会に戻り、通訳の仕事をする際にもこの実習で得た経験を活かしていきたいと思います。
最後に、コロナ禍という難しい状況にもかかわらず、実習の機会をくださった先生方や参加者の皆様に感謝しています。
今回は、夏季休暇とオンライン形式で行われた同時通訳の課外実習の概要についてお話しました。次回は秋学期と年末年始の話をしようと思います。早くも12月半ばで、文字通り師走ですが、皆さんも体調に気をつけてお過ごしください。よいお年を!
佐々木勇介
JACI理事。東京外国語大学大学院修士1年。学部卒業後、ITおよび通信の会社2社で通算4年半、エンジニア兼社内通訳者として従事していた。趣味はイギリス発祥のスポーツであるクリケットと愛車のロードバイクで一人旅。