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【第6回】通訳翻訳研究の世界~翻訳研究編~翻訳プロセス研究とは

この連載の「翻訳研究」を担当している関西大学の山田優です。今回は私の研究の関心のひとつである「翻訳プロセス研究」についてお話します。 訳出行為と翻訳的行為 翻訳プロセスとは、狭義では、翻訳者が起点テクスト(原文)をもとに、別の言語の目標テクスト(訳文)を産出する認知活動になります。平たく言えば、原文を読みはじめてから、訳し終わるまでの翻訳者の頭の中の活動です。翻訳者が実際に翻訳をしている最中の...

【第17回】通訳者・翻訳者の子育て「双子のバイリンガル教育(後編)」

(執筆:通訳者 平松里英) 海外移住を決めたきっかけ 私が子育てのために海外移住を決めた理由の一つは、英語がわかる私と、わからない子どもたちという状況になっていたこと。ある日、おもしろい映画だからと、モンティ・パイソンの『The Meaning of Life(邦題:人生狂想曲)』を借りてきたときのこと。私が爆笑している傍らで、子どもたちは2人とも完全にシラけているではありませんか。「これはま...

第24回 新春スペシャル☆NEW YEAR, NEW LIFEのススメ(前編)

Posted February 18, 2019 皆様、新年(といっても、旧暦の、ですが…)おめでとうございます! 個人的には、2月の節分の時期にこそ「1年の節目」を感じます。春と言うには外はまだまだ寒いですが、日差しは明るさを帯びてきているし、ベランダの草木も小さな新芽がちらほら顔を出し始め…あの陰陽のシンボル(太極図)でいう「陰が極まって陽に転化する」瞬間が今ここにある!と実感で...

【第8回】通訳なんでも質問箱「クライアントとのトラブル」

「通訳なんでも質問箱」は、日本会議通訳者協会に届いた質問に対して、対照的な背景を持つ協会理事の千葉絵里と関根マイク(プラスたまに特別ゲスト)が不定期で、回答内容を事前共有せずに答えるという企画です。通訳関係の質問/お悩みがある方はぜひこちらからメールを。匿名で構いません。 では、今回の質問です。質問箱に届いた原文をそのまま転載します。 Q.これは先日行われたイベントの時に起きた出来事です。...

保護中: 【第11回】聖書に学ぶ英語表現と精神世界「『Fat』は良い物?」

【会員限定コンテンツ】 新正月も旧正月も明けましておめでとうございます。この連載も2年目に入りますが、今年もよろしくお願いいたします。さて、前回は「well-rounded」な通訳者になろうと努力をしていると言いましたが、私の方はと言うとさっそく年末年始、旧正月のごちそうで体型だけは「well-rounded」な通訳者になることが出来ました。(苦笑) It’s not what it mea...

【第4回】通訳留学奮闘記~ロンドンメトロポリタン大学編「期末試験ー前編ー」

皆さん、こんにちは。今日はいよいよ期末試験のことを中心にご紹介したいと思います。 ■期末試験までの準備 3週間にわたるクリスマス休暇が終わると1月2週目から授業が再開です。とはいえ、授業再開後2週目は授業がなく、その翌週が期末試験なので、休暇が終わると即試験前最後の授業という形になります。期末試験があるモジュールは逐次通訳と会議通訳1(同時通訳)で、試験前最後の授業ではいずれも試験当日の時間の...

保護中: 【第10回】放送通訳の世界「因数分解したい」

【会員限定コンテンツ】 高校入学直後の数学テストで赤点を取り、「自分は決して理系人間にはなれない」と思いました。以来、授業はちんぷんかんぷん。2時間の通学時間ということもあり、授業中はひたすら寝ていましたね。大学受験も迷うことなく文系へ。数学用語を耳にするだけでいまだに緊張してしまいます。 とは言え、今回の本コラムでは「因数分解」という語をあえて用います。文系的に言うのであれば、「書き...

第2回 JACI 同時通訳グランプリ:準備ワークショップ(2月)

日本会議通訳者協会が主催する第2回JACI同時通訳グランプリを目指して、一緒に準備を進めましょう!日本会議通訳者協会では、4月まで毎月グランプリに向けた準備ワークショップを開催します。 本ワークショップでは、通訳者として経験豊富なJACI理事や認定会員が講師を務め、同時通訳スキル獲得・向上と、予選から本選出場のための実践的対策を学びます。「同時通訳グランプリに出てみたいけれど、自分の...

【第7回】インドネシア語通訳の世界へようこそ「同業者や関係者とのネットワークを築く」

今回のテーマは、「同業者や関係者とのネットワークを築く」です。 これに関して私の一番書きたかったポイントは、一足先に関根マイクさんが以下の記事で見事にまとめてくださっています。 ❏アルク『翻訳・通訳のトビラ:通訳者・関根マイクの業界サバイバル・ガイド』 【第12回】ネットワーキングの重要性 【第10回】ビジネスオーナーとして考える その1(2ページ目 の「通訳者を紹介す...

【第2回】東洋と西洋をつなぐヨーガの通訳「研修における私の役割」

前回は、私が通訳として「母性のヨーガ」に携わることになった経緯についてお伝えしました。通訳の仕事としては少し特殊なケースかもしれませんが、友人がゼロから立ち上げた「現場」の成長を内側からつぶさに見ることになった経験が、フリーランスの多い通訳者の皆様への何かの参考になればと思い、今回は、この研修がどんなもので、私はどんな風に携わっているのかをお伝えしたいと思います。 ヨーガには、いくつもの流派...

【3/23】製薬業界の通訳の基礎を4時間でマスター!

日本通訳フォーラム2018(8月25日開催)では「製薬業界の通訳の基礎を1時間でマスター!」を担当させていただきました。その際には時間の制限もあり、「創薬」「非臨床試験」「臨床試験」の3つのトピックしか取り組むことができませんでした。本ワークショップではその時に取り組めなかった「薬事」「営業」「マーケティング」「生産」「事業開発」といったその他の製薬トピックに取り組んでいきたいと思います。皆さんの...

保護中: 【第16回】製薬業界の通訳「各国の保険制度とマーケットアクセスの通訳」

【会員限定コンテンツ】 第16回は各国の保険制度とマーケットアクセスについて見ていきたいと思います。専門性が高い分野ですので、私の理解が及ぶ範囲内でご紹介できればと思います。 まずはアメリカです。2014年9月のデータを見ると、所属する企業が従業員に用意する民間保険(注:民間保険会社はペイヤー[payor]と言う)に加入しているアメリカ人が46.8%(1億4,850万人)、メディケア(...

【第3回】通訳留学奮闘記~ロンドンメトロポリタン大学編「年内の授業が終了、クリスマス休暇」

皆さん、こんにちは。この記事を書いている現在はクリスマス休暇中です。今回は、休暇前までにそれぞれのモジュールで新たに学んだことに加えて、クリスマス休暇中の取組みやモジュール以外のことについてご紹介したいと思います。 ■各モジュールで新たに学んだこと 1.逐次通訳 前回も少しご紹介した、ノートテイキングの時に使うシンボルについては、数回の授業でじっくり学びました。また、これまで学んだノートテイ...

【第7回】通訳なんでも質問箱「経験を積むには?」

「通訳なんでも質問箱」は、日本会議通訳者協会に届いた質問に対して、対照的な背景を持つ協会理事の千葉絵里と関根マイク(プラスたまに特別ゲスト)が不定期で、回答内容を事前共有せずに答えるという企画です。通訳関係の質問/お悩みがある方はぜひこちらからメールを。匿名で構いません。 では、今回の質問です。 Q. 通訳学校を出ても、経験がないので、仕事に結びつかない場合、どのようにして、経験を積めばよ...

第2回 JACI 同時通訳グランプリ

日本会議通訳者協会(JACI)は、2019年も同時通訳グランプリを開催します。通訳を学んでいる学生・社会人と、通訳者になって3年以内の通訳者の同時通訳のスキル向上、切磋琢磨する機会の提供を目的としたコンテストです。 エージェント各社の代表者も来場し、人材発掘のために参加者のパフォーマンスを拝見します。エージェントに認められた参加者は、通訳の仕事を得るチャンスです!通訳技術をさらに高めたい方、...

【第1回】東洋と西洋をつなぐヨーガの通訳「仕事の始まり」

1.はじめに 皆さん、初めまして。通訳界の自称スピ哲学者、中井智恵美と申します。今回より、私のライフワークの一環でもある「母性のヨーガ」の通訳について、コラムを書かせていただくことになりました。 東洋で生まれ、西洋に伝わり、今や世界中に広がるヨーガですが、皆さんはヨーガに対してどんなイメージをお持ちでしょうか? 今回の連載を始めるにあたり、夫(50代ガテン系公務員)に「ヨーガってどんなイ...

【第2回】通訳留学奮闘記~ロンドンメトロポリタン大学編「引き続きモジュール紹介、そして早くも前期半ば」

皆さんこんにちは。 第2回となる今回は、前回ご紹介しきれなかった会議通訳1のモジュールと、この1カ月で新たに学んだことについてご紹介したいと思います。 まずはモジュール紹介の続きです。 ■会議通訳1 基本的には同時通訳の授業になります。日本の多くの通訳学校では学習し始めたころは逐次通訳のみに特化し、ある程度「完成」してからでないと同時通訳の訓練をすることはありません。その点で日本での通訳...

【第6回】インドネシア語通訳の世界へようこそ「インドネシア語通訳者になるには(その2)~どこでどう学ぶか~」

今回のテーマは、「インドネシア語通訳者になるには(その2)~どこでどう学ぶか~」です。 前回までと同様に、「日本語を第一言語とする人が、日本国内を拠点とする場合」に絞って話を進めます。 **** まず、「どこでどう」の前に、そもそも「何を」学ぶかから考えてみましょう。 周りに尋ねたところ、多くの人は前もって予告していた今回のテーマから「通訳学校で習うような技術的な面」や「インドネシア語(特...

日本通訳フォーラム 2019

日本会議通訳者協会が主催する第5回日本通訳フォーラムは8月24日(土)に開催されます。基調講演には、長らく放送・会議通訳者として日本の通訳界を支え、今なお最前線で実務をこなしながら若手の育成に積極的な新崎隆子先生を迎えます。これに加えて午後のセッションでは、外食産業からサブカルまで幅広い専門分野の通訳者や専門家を招いてお話しいただきます(詳細は順次公開)。日本通訳フォーラムは現役の通訳者や志望者、...

【7/27-7/28】真夏の通訳講習2019

大好評だった一昨年の箱根合宿、昨年の東京講習に続き、日本会議通訳者協会が学生から現役通訳者まで「ガチで」楽しんで学べる通訳夏期講習を今年も開催します。逐次通訳の基礎からパナガイドを使用した同時通訳の演習まで、学ぶ意志とやる気があれば誰でも楽しめる内容になっています。丸2日間、通訳に打ち込んでみませんか? 宿泊はありません。JACI会員に限らず、通訳の腕を磨きたい方であれば誰でも参加可能です。...

【8/4】コンサル業界での通訳~経験者が語る成功の秘訣

コンサル業界での通訳というと、「とにかく幅広い分野の知識と高い通訳技術が求められる仕事」という印象をもつ人が多いのではないでしょうか。確かに知識と技術は重要ですが、皆さんが考える以上にこの分野は懐が深く、多様な人材を求めています。社内通訳者として、またはフリーランス通訳者として、コンサル業界に参入して成功するには何を知り、どう振る舞えばよいのでしょうか。本イベントでは通訳者を雇う側の視点とコンサル...

日本会議通訳者協会 英国認定試験(日本語ー英語)

日本会議通訳者協会は英国で初めて認定試験を開催します。すでに国際会議での稼働実績が200日(およそ1,500時間)以上ある通訳者、またはこの実績に相当する通訳技術を有する通訳者が試験の対象者です。 本試験について質問がある場合はこちらからお問い合わせください。 <概要> 日時:2019年8月19日(月)10:00~17:00 ※ロンドン現地時間 場所:Boardroom at Be...

保護中: 【第10回】聖書に学ぶ英語表現と精神世界「オールマイティーな通訳者を目指して・・・?」

【会員限定コンテンツ】 こんにちは。繁忙期も相まってなかなか筆が取れずご無沙汰しております。色々な分野の翻訳やら通訳やらがどっと舞い込んでくるこの時期、「オールマイティーな通訳者・翻訳者でありたい」と日々仕事に精を出しているわけですが、なかなか思うようにならないのが世の常ですよね…とここまで読まれていて、皆さん違和感を覚えた表現はありませんでしたか。さて、今回は訳出の際に注意をしなければ意味...

【第5回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「新幹線出張術」

通訳業に限らず、移動が多いビジネスパーソンも読者の中にはおられることでしょう。そこで今回は新幹線での移動をメインに出張術についてご紹介します。東海道新幹線をメイン拠点に書いております。あらかじめあしからず・・・。 1. 指定席券は買っておく 以前、新神戸まで日帰りで出かけたときのこと。早朝の新幹線に東京駅で乗車しました。数分おきに東海道新幹線は出ています。自由席でも大丈夫と思い、指定席は買って...

【2/3】会計知識「基礎の基礎」大阪ワークショップ(日本語・全日)

日本会議通訳者協会がお届けする業務基礎知識に特化したワークショップです。通訳演習は行いません。説明の言語は日本語です(一部英語の用語も紹介)。想定する参加者は会計知識がほぼ白紙で、どう勉強しようかと迷っている方々。 企業内通訳に必ず出てくるのがお金の話。開発・投資・生産・販売から宣伝・人事・福利厚生まで、企業活動のすべてに会計は深くかかわっています。そのため、幹部レベルの会議の通訳では財務関...

第23回☆年末特別企画☆2018年の“個人的ニュース”なアイテム5選

Posted December 21, 2018 皆様こんにちは。「通訳界のガジェットヲタク」平山敦子です。今回は「2018年の“個人的ニュース”なアイテム5選」と題して、サービス、書籍、アプリ、グッズ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の5つのカテゴリーのお勧めを厳選してお届けします。 その1 サービス部門 スマート留守電 知る人ぞ知る、通称「スマ...

【第16回】通訳者・翻訳者の子育て「双子のバイリンガル教育(前編)」

(執筆:通訳者 平松里英) 同じ環境でも双子で違いが浮き彫りに わが家の子どもは日本で生まれました。男女の二卵性双生児で、所謂「ゆとり世代」のど真ん中です。できるだけ英語で生活する場を設けようと、毎週、国際結婚した妻たちや夫の関係で日本に駐在している外国人のママたちとが集まって、当番制で子どもたちに英語で読み聞かせをしたり、遊ばせたりするプレイグループに出入りしていました。 保育園に入る...

保護中: 【第9回】放送通訳の世界「名称、どうする?」

【会員限定コンテンツ】 私が携わる放送通訳現場は、いわゆる「完全生同通」です。事前に記者のレポートなどを見たり、ボイスオーバー用の原稿を作ったりする時間はありません。まさにぶっつけ本番。何が出てくるかわかりませんので、「生=ライブ」というわけなのです。運が良ければ前の時間帯に放映したニュースを職場備え付けのDVDプレーヤーで見ることはできます。けれども準備時間が少ないため、一回視聴できればラ...

【第6回】通訳なんでも質問箱「同業者に仕事を紹介されたときの謝礼」

「通訳なんでも質問箱」は、日本会議通訳者協会に届いた質問に対して、対照的な背景を持つ協会理事の千葉絵里と関根マイク(プラスたまに特別ゲスト)が不定期で、回答内容を事前共有せずに答えるという企画です。通訳関係の質問/お悩みがある方はぜひこちらからメールを。匿名で構いません。 では、今回の質問です。 Q. 私は国外で社内通訳をしていたのですが、最近フリーランスになりました。日本の通訳業界では同...

【第5回】通訳翻訳研究の世界~通訳研究編~「努力モデル」と「綱渡り仮説」

皆さん、お待たせしました。半年ぶりの「通訳研究編」です。前回は主に通訳者養成のために生まれた「意味の理論」を取り上げました。今回は、同じく通訳訓練と深いかかわりのある、ダニエル・ジル(Daniel Gile)の「努力モデル(Effort Models)」と「綱渡り仮説(Tightrope Hypothesis)」を紹介します。 生みの親は仏英通訳者 日本語研究で博士号も 通訳研究を少しでもかじ...