【第11回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「本の読み方」 通訳者にとって大事なのは、「業務当日までどれぐらい沢山準備しているか」です。依頼の連絡を受けた時点で仕事は開始していることになります。よって、通訳料金というのは「当日だけの業務料金」ではなく、「依頼時点から当日に至るまでの準備時間を含めたのがギャラ」であると言えるでしょう。 私が準備段階でとりわけ意識しているのが、「いかに広く浅く狭く深く(と言うと結局『トータルに』ということになるのですが...
【第10回】翻訳・通訳会社のクレーム処理「他力翻訳」 翻訳・通訳会社は、翻訳者・通訳者には見えない舞台裏で様々なクレーム処理を行っています。本連載は目的は、その一部を紹介することで、翻訳・通訳会社が日々取り組む業務に関して理解を深めてもらうことです。執筆は現役の翻訳・通訳会社コーディネーター。登場人物はすべて仮名です。 今年も上半期が終わり、いよいよ下半期が始まろうとしておりますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。月日というものは、...
保護中: 【第15回】通翻訳者が知るべきBrexit「Disunited Kingdom」 【会員限定コンテンツ】 今回は、Brexitの経緯や背景を振り返る連載の区切りとして、UKにとってBrexitとは何なのか、UK国民はBrexitによって何を求めているのかを考えてみたい。 2016年6月23日の国民投票の結果EU離脱が決まった後、メディアでは"the nation has spoken"、"the nation has voted to leave"といった言葉が繰...
【第14回】駆け出しのころ「志願してつかんだデビュー」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** こんにちは。英語通訳のカイザー真紀子です。5社8年の社内通訳を経て2014年にフリーランス通訳になりました。これを書いている2020年4月上旬現在、コロナの影響で通訳案件は昨年対比95%減と過去最悪を記録し...
【第12回】駆け出しのころ「大学職員から通訳者へ」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 「駆け出しの頃」がテーマですが、私は2018年からフリーランスで翻訳を始め、2019年にひっそりと通訳の看板も出し始めた駆け出し真っ只中の新人です。通訳者になるまでのこと、通訳をするようになったきっかけにつ...
【第13回】駆け出しのころ「小学生の頃に始まった夢の途中」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** テレビの向こう側で同じ言語を話さない2者を繋ぐその存在に初めて憧れを抱いたのは小学生の頃です。それまでは何故か「将来の夢がないとかっこ悪い」と信じていて、毎年のように夢をコロコロ変えていた私ですが、以来「通...
【第11回】駆け出しのころ「一歩を踏み出す勇気を重ねて」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 初めて通訳という仕事を意識したのは、12歳のころだったと思います。翻訳家である母の友人が、一冊の訳書を私にプレゼントしてくれました。マザー・テレサの生い立ちや活動を紹介した児童書です。巻末の同時通訳者...
【第10回】駆け出しのころ「回り道はしたけれど」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 皆さんこんにちは。私はイギリス在住の英日通訳者です。私が駆け出しの通訳者だったころを形容すればそれは正に「下積み」。通訳の仕事がほとんどなかったからです。ギターを片手に木枯らしの吹く中、場末のスナックを渡り...
【第9回】駆け出しのころ「汗かき恥かき訳そうよ」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 私が通訳者になりたいと思ったきっかけは、地元の外国語大学3年時のボランティア通訳体験でした。あるスポーツイベントでチーム付き通訳をしていたのですが、大会数日前にユニフォームが届かないという事態が。このタイミ...
【第8回】駆け出しのころ「結果オーライ回り道」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 小学校5年生のことだった。とてもきれいですらりとしたオーストラリア出身の女の先生が私たちの学校に赴任してこられた。科目は英語。日本語は話せないらしかった。授業はすべて英語で行われ、私はいつも先生に見とれてい...
【第7回】駆け出しのころ「亀さん通訳は今もゆっくり進んでいる」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** バレリーナ、スチュワーデスと変遷した私の憧れの職業が通訳という今の職業に固定したのは中学生の時でした。中学の時に出会ったドストエフスキーの『罪と罰』の読後感は、後にも先にもない衝撃的なものでした。私が通訳に...
【第5回】チャーリーの金融英語「何でもやる」 本年4月27日付日本経済新聞に次のような記事が掲載された。 新型コロナウイルスの感染拡大による経済の急速な悪化に対応するため、日銀は27日、追加の金融緩和策を決めた。国債を制限なく購入する姿勢を強調し、金利上昇圧力を抑える。社債などの買い入れ枠を3倍近くに増やし、企業の資金繰りを支援する。米欧の中央銀行はさらに踏み込んだ政策を打ち出しており、日銀も対策の遅れが許されない長期戦が続く。 ...
【第2回】はじめてのサイバーセキュリティ「敵を知ろう」 こんにちは。緊急事態宣言で自宅に引きこもっているうちに、季節はいつの間にか初夏になりました。 第1回では、「なぜ今サイバーセキュリティなのか」と題して導入をしました。要約すると、官民問わずさまざまな組織がサイバー攻撃の脅威にさらされているということでした。またそれに対応する形でサイバーセキュリティ関連製品・サービスが主に外資系企業によって提供されており、通訳にも一定のニーズがあるということ...
保護中: 【第4回】トップの通訳「外国人エグゼクティブのタウンホールミーティング」 皆さん、こんにちは。日本はすっかり梅雨ですね。雨の日は、自宅から入れるオンライン会議もいいものかもしれません。窓の外の雨音を聴きながら、内向く意識で集中力を高めることもできそうです。 通訳の場が、今のところ現場から遠隔に移行する流れの中、仕事の時間帯も、一部日本の日中ではない時間に移っているようです。時差のため、アメリカとの会議は日本の早朝、ヨーロッパとの会議は夜といった具合です。一方で、...
【第34回】駆け出しのころ「ブエノスアイレスで通訳に~何事も無駄にはならない~」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 私は地球の反対側、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス在住で、スペイン語通訳者として活動開始して今年で27年になります。 初めて正式に仕事として通訳をしたのは、1993年2月。当時JICA...
【第35回】駆け出しのころ「七転び八起き」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** イギリスへ語学留学私が初めて英語に興味をもったのは、中学生の頃、近所の友達の家にアメリカから交換留学生がやってきた時のことです。テレビでしか見たことがない外国人と遊んで、片言の会話ができた時は...
【第36回】駆け出しのころ「勉強と感謝でつづる、かけだし物語」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 始まりは本の表紙小学校低学年の頃、興味を惹かれたのが海外児童文学の本の表紙に「さくしゃ」と並ぶ「やくしゃ」でした。外国語と日本語との間に介在する、その不思議な存在が魅力的に映ったのです。 ...
【第3回】シリコンバレー徒然通訳テクノロジーだより「上手にググるには? 情報検索の精度を上げる方法 その1」 皆様お元気でお過ごしでしょうか。 外出禁止令の発令からなんとなんと3か月。みんな髪はボサボサだけどやればできる! SNSを見ていると多くの人が自然回帰(?)して、花が咲いたとか鹿を見かけたとか自然ネタの投稿が増えている気がします。猫の額の我が家の庭にも小鳥が巣を作り、ヒナが孵って巣立っていくのを観察したり、廃棄寸前のジャガイモを植えてその育ちっぷりに驚いたり。映画館にもイベントにも買...
【最終回】大手を振って中道を行く−できない私の通訳雑談「大学院でサバイバル!の巻④」 毎回前書きばかりが長くなるコラムも今回でいよいよ最終回となりました。このコラムを書いている6月初旬、緊急事態宣言は解除され、世間ではやれ「ポストコロナ」だとか、やれ「ウィズコロナ」だとか、巷では語呂の良いカタカナ英語が飛び交い、明るい気持ちになっていいのかなと思えば、「Tokyoアラート」なんていうものが登場して、やはり緊張を続けるべきなのか、もはや訳のわからないことになっている今日この頃です。...
保護中: 【第8回】通訳ブースは宝の山「温泉『庭の湯』へのオマージュ」 【会員限定コンテンツ】 温泉が好きだ。都内にも日帰り温泉を楽しめるところがいくつかある。なかでも、豊島園の「庭の湯」がお気に入りである。それには理由があって、通訳の仕事でご縁があって、行くようになった。 2003年に開業した豊島園の「庭の湯」は当初、近隣の高齢者をターゲットとしていた。開業前には当然のことながら、市場調査をし、想定される利用客の需要や好みなどを数値ではじき出し、その上で価格設定...
【第33回】駆け出しのころ「らせん階段と下りのエスカレーター」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 私にとって憧れの通訳は遥かかなたでした。 公立の中高でふつうに勉強しただけの英語だったので、外国語に定評のある大学に入ったからといって、それで英語力がぐんと伸びたという訳にはいきません。それで...
【第32回】駆け出しのころ「勉強は絶えずに」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 通訳者になろうと思ったきっかけ私は最初から通訳者になることを目指していたわけではありませんでした。日本語の学習歴こそ長いものの、通訳ができる人間ではないと前から思っていました。もともと臆病で遠...
【第31回】駆け出しのころ「熱しやすさと冷めやすさのはざま」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 子供の頃、その熱しやすく冷めやすい性格が手伝って、なりたかった職業は数知れず。探偵になろうと尾行を始め、お菓子屋になろうと図書館のレシピを片っ端から試し、ハーバリストになろうと実家の庭をハーブ...
【第30回】駆け出しのころ「音楽と英語~ふたつの『好き』を仕事にして」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 誰しも、子供の頃にはキラキラした夢を持っていたと思います。好きなこと、やりたいことを口に出し続けていたら、たくさん仲間ができて、いつの間にか世界が広がり、夢の実現に近づいていた。そんな経験を少...
【第29回】駆け出しのころ「革命いまだならず」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 1990年の秋、「あ」の字も知らなかった私は、日本での生活をスタートすることになりました。それまでは南京にある大学で経済学の講師をしていましたが、天安門事件を機に大学がほぼ休講となり、急遽主人...
【第28回】駆け出しのころ「同時通訳の思い出は、ビールとともに」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** エルビーニア ユリアの人生を形成した幼少~学生時代「私は~です」と一人称で訳そうか、それとも「この人は~と言っています」と話し始めるべきか。名古屋の小学校で全校児童を前に、11歳の私は一瞬考え...
【第27回】駆け出しのころ「危機をチャンスに。学びに終わりはありません」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 高校を卒業する日、母にいきなり「航空券買ったから明日ペルーに帰って」と言われました。来日して6年間、どんなに母国に帰りたかったか。とはいえ、あまりに突然で唖然としました。 翌日、成田空港...
【第26回】駆け出しのころ「イルカを通訳してみて分かった1つのこと」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 初めての大型通訳案件の後、「クリス見てあげるよ」と声をかけてくれたスピリチュアルな依頼主に「前世」を見てもらった。どうやら前世では戦場で相当やらかしたらしく、その代償として現世のテーマ...
【第23回】駆け出しのころ「忘れられない単語」 私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 忘れられない単語がある。 2012年、米国カリフォルニア州のモントレー国際大学院(現・ミドルベリー大学院モントレー校)で会議通訳を修めた後、日系製薬企業のアメリカ支社で通訳者としての勤務を...
【第24回】駆け出しのころ「人見知り少女、通訳になる」 「私はプロになれるのだろうか」「いまやっていることは本当に役に立つのだろうか」―デビュー前に誰もが抱く不安、期待、焦燥。本連載はプロ通訳者の駆け出しのころを本人の素直な言葉で綴ります。 *** 通訳者といえば、どんなイメージがありますか? 社交的で話好き、海外に住んでいて外国語がペラペラ… 私も最初はそのようなイメージがありました。でも私はそのどちらでもありません。今でも...