リソース, Page 8

保護中: 【第10回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」

講堂に響く歌ごえ  東北大学の主楼の講堂は、おそらく六百人ぐらいは収容できそうだった。週末などにそこで“晩会(ワンホエ)”(文芸の夕べ)があると聞くと、裕子と馳せ参じた。 歌あり、踊りあり、芝居ありの楽しい集いだった。出演者も観客もすべて大学生たちで、部外者の私たちがやや遠慮がちに後ろの「立見席」から舞台を眺めていると、いつも決まって誰かが“来(ライ)!来(ライ)!”と手招きして席を譲って...

保護中: 【第26回】翻訳家ありのまま「印税率を聞くのも一苦労」

前回、印税の支払時期について詳しく聞いていなかったために生じた一悶着をお話したわけだが、読者の中には「事前にきちんと聞いておかなかったあなただって悪いよ」と私を非難する人もおられると思う。たしかにそれも一理ある。だが、印税の支払いについて詳しく聞き出すことはけっこう大変なのである。今回はそれがうかがえる実例をお話ししようと思う。 ある日、G出版からメールで翻訳書出版の相談を持ちかけられたの...

【第2回】この台詞に注目! 映像翻訳の楽しみ方『2034 今そこにある未来』

映像翻訳者の松本陽子です。配信作品を中心に字幕翻訳と吹替翻訳を手がけています。映画を見るのが大好きで、去年は映画館で180本ほど鑑賞しました。動画配信サービスでも多くの作品を見るなかで、すばらしい訳に出会い、「この見事な技術を身につけたい」と思ってきました。そんな日本語訳を、ご紹介します。 第2回の作品はブラックユーモアたっぷりな家族ドラマの第1話で、字幕翻訳は神田直美さん、吹替翻訳は後藤...

保護中: 【第9回】「ライラックの花香るころー中国語を生涯の友として」

第三章 解放区吉林へ  中国の素顔に触れた日々      一部の家族を除き、長春大学の日本人教員とその家族を含む長春脱出組第一陣、総勢およそ50人は、チャーズを出てから最初は徒歩、次に荷馬車、その後トラックと乗り継いで吉林に向かった。 父のメモによると  9月12日  長春を脱出、真空地帯に入る。9月14日  劉家屯―陶家屯―白廟子  17日 中秋満月 9月19日  吉林着 吉林の東...

【第7回】手話通訳士への道「手話奉仕員・手話通訳者・手話通訳士となり、『公』の働きに従事した私」

●手話通訳事業 「公」の働きとしての社会福祉事業に手話通訳事業が位置づけられていることは前回紹介した通りです。 連載の第4回でふれた「手話奉仕員養成事業」を含む①手話言語の理解者と手話言語通訳者の養成、②手話言語通訳者の派遣、③手話言語通訳者の設置、そして④資格認定の4本柱になっています。 社会福祉法や身体障害者福祉法の手話通訳事業は、障害者総合支援法の地域生活支援事業(以下...

保護中: 【第41回】放送通訳の世界「スポーツニュース、どう訳す?」

【会員限定コンテンツ】 数週間前の日経新聞で、いよいよ年内に自動通訳機が市場に出るとのニュースを読みました。メーカーのHPでデモ動画を視聴したところ、非常に高性能です。英語を日本語字幕および日本語音声で変換し、リモートでも対面でも使えます。日本語の音声を聞いたところ、確かに機械音声ではありますが、無機質ではなく、アナウンサーのような抑揚もあります。隅田英一郎氏の最新刊「AI翻訳革命」(朝...

保護中: 【第25回】翻訳家ありのまま「未払い印税回収劇②ちょっと可哀そうなことしちゃったかな」

Cセラーズで初めて訳書出版することが決まったとき、編集者から「印税6%」と聞いて仕事を始めたのだが、見本書籍ができた日に「重版印税の6%は約束するから、初版印税だけ4%に負けてほしい」と相談を持ちかけられ、うかつにも私はそれを了承してしまった。その際、「印税支払日は発売の2ヶ月後」と聞かされていたが、その後経理部から送られてきた明細を見てみるとビックリ。印税は発売後2か月後から月に1回、4回に分...

保護中: 【第2回】日米同盟:防衛協定からグローバルパートナーシップへの道のり「日米同盟の形成:日米安保改定までへの道のり」

【会員限定コンテンツ】 本連載は、戦後の対日講和から1990年代まで10年間ごとに整理し、2000年以降は各米大統領の政権ごとに日米同盟がどのように変化したか、そして、今後インド太平洋地域が地政学的に最も重要な地域となる中で、日米同盟が地域の平和と安定に貢献するための課題や日本を取り巻く多国間関係を紹介する。 第2回は、日本の再軍備、日本の対中・対ソをはじめとした自主外交の試み、そし...

保護中: 【第8回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」

空中投下  兵糧攻めに遭って深刻な食糧不足に陥った長春で行われたのが、国民党軍による空からの食糧の投下。中国語では、“空投(コントウ)”(「空中投下」)という。長春の大房身飛行場が解放軍の手に落ちたのは、1948年5月24日。その日から国民党軍は、正式の航空ルートを利用しての、市内に籠城する兵士に対する食糧の空輸を断念した。そこで始めたのが、およそ3000メートルの上空からおこなう食糧の空...

保護中: 【第24回】翻訳家ありのまま「未払い印税回収劇①私だって生活に困ってます」

留学から帰国して3年経っても生活は苦しいままだった。最大約50万円まで膨らんだ借金を英会話講師などをやりながら完済したばかりで、いつ借金生活に逆戻りするかというギリギリ状態が続いていた。 そんなある日、編集者が拙宅に打ち合わせに来たので、一番気になっていたことを訊いた。 「印税って、いつ支払われるのですか」  すると彼女、ばつが悪そうにこう応えた。 「えっ、言ってませんで...

保護中: 【第11回】あの通訳研究って、実際どうなの?「 中立性とは ー通訳者にとって何を意味するのかー 」

【会員限定コンテンツ】  あっという間に11月となりました。予定よりも原稿執筆が遅れてしまい、大変申し訳ありません。季節を先取りするのが主流になっているようで、9月に入ってからすぐに街中はハロウィンの装いに包まれていましたが、韓国では楽しいイベントが一転して、例のない悲劇となってしまいました。過去2年、コロナ禍で楽しむことが出来なかった時間を取り戻したいという気持ちもあったのかと思われます...

保護中: 【第7回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」

母との別れ  1947年春を迎えた頃から、にわかに周りで「ケンソー、ケンソー」と騒がれるようになった。 中国語では“遣送(チエンソン)”、日本では、もっぱら海外からの「引き揚げ」と言われているが、現地の日本人の間では、むしろ中国語由来の「遣送」をよく耳にした。中国語には「国外退去、送還」のような強い意味合いが込められている。  母は結核を患いよく床に臥していたが、春先には買い物に出か...

【第1回】この台詞に注目! 映像翻訳の楽しみ方『私ときどきレッサーパンダ』

映像翻訳者の松本陽子です。配信作品を中心に字幕翻訳と吹替翻訳を手がけています。映画を見るのが大好きで、去年は映画館で180本ほど鑑賞しました。動画配信サービスでも多くの作品を見るなかで、すばらしい訳に出会い、「この見事な技術を身につけたい」と思ってきました。そんな日本語訳を、ご紹介します。 初回に選んだ作品はアニメで、字幕翻訳は稲田嵯裕里さん、吹替翻訳は田尾友美さんが担当しています。 ...

【第6回】手話通訳士への道「社会福祉の仕事としての手話通訳事業ー「公」の営み、手話通訳事業―」

ろう運動と、それを基盤にした手話通訳事業の歩み、そして、手話通訳活動は、十分な情報の取得とコミュニケーションの重要性を法制化した「情コミ法」を誕生させました。 「情コミ法」の誕生が、手話通訳事業の発展に責任を有する行政活動への期待について前回紹介しました。 では、社会福祉(障害福祉)行政にかかわってきた立場から通訳行為を考えてみます。 障害のある人たちに係る仕事をしていると、通...

保護中: 【第40回】放送通訳の世界「集中力アップのグッズ」

【会員限定コンテンツ】 通常のCNNシフトの場合、当日になるまで何がニュースとして出てくるかわかりません。よって、できる予習としては、せいぜい通勤途上で新聞(視認性があるので私はもっぱら紙新聞)をくまなく読み、局入りしてからは最新のニュースをネットでチェックするぐらいです。通訳準備室にはこれまでの番組がハードディスクに録画されていますので、数時間前のニュースをさかのぼって確認もします。時...

保護中: 【第23回】翻訳家ありのまま「『売れてるのか?』って何度も同じこと訊かないでよ!」

前回、「誰でも本を出せる」という夢のある話をしたので、今回は本を出すことのネガティブな側面をお伝えしようと思う。ポジティブな側面とネガティブな側面の双方を勘案して、それでも本を出したいと思えるか冷静にご判断いただければと思う。 単行本の執筆や翻訳に夢があるのは否定しない。ただ、「ベストセラーになって印税ガバガバ」というのは、狙ってできるようなものではないし、そもそもそんなことを狙って書いた...

【第1回】日米同盟:防衛協定からグローバルパートナーシップへの道のり「日米同盟の黎明期: 敗戦から対日講和へ」

2021年4月、バイデン米大統領と日本の菅総理(当時)は日米首脳共同声明を発出し、日米同盟は、「インド太平洋地域、そして世界全体の平和と安全の礎(cornerstone)となった」と宣言した。いまや、日米同盟についての知識は、日米関係のみならず、国際安全保障全般について語るうえで不可欠といえるだろう。本連載では、日米安全保障がその始まりから現在までどのような過程で発展してきたのか、歴史的なマイル...

保護中: 【第8回】シリコンバレー徒然通訳テクノロジーだより「RSIショートカットとファイル自動書き起こし 後編」

【会員限定コンテンツ】 さて今回の本題は、音声や動画「ファイル」の自動書き起こしです。リアルタイムの書き起こしは Google doc, Siri, Otter, Word, Shimeji など色々な音声入力の手段がありますが、ファイルの書き起こしは少しワザが必要です。 (注意事項: 今回紹介するクラウドの自動書き起こしや自動翻訳を、事前資料に使うのは当然NGです。特に無料版はサー...

【第7回】シリコンバレー徒然通訳テクノロジーだより「RSIショートカットとファイル自動書き起こし 前編」

皆さんお元気でしょうか。 去年は東京に1年近く移住してまたアメリカに戻ったと思いきや、色々な事情でまた真夏の東京に3か月。アパート探しや家庭の事情で気持ちの余裕がなく、JACI様の「必要なだけ休んでいいよ」という言葉に甘えてすっかり間が空いてしまいました。 バタバタの燃え尽き症候群からも復活し、連載を再開しますので改めて宜しくお願いします。 今回はまずお勧めガジェットから。 ...

保護中: 【第22回】翻訳家ありのまま「売り込んで売り込んで売り込んで…」

読者の方の中には、「いつか私も本を出してみたい。訳書でも語学参考書でもエッセイでも私小説でもいい。とにかく自分の名前で本を出してみたい。だけど、それって生まれ持った特別な才能がある人しかできないことじゃないかな」と思い込んでいる方がおられるのではないかと思う。 しかし本を出すのに生まれ持った特別な才能など要らない。その実例が私だ(笑)。30歳まで「私の本を出してくれる出版社など絶対に見つか...

【第20回】柴原早苗の通訳ライフハックス!「実務家教員は工夫がすべて」

通訳学校や大学などで教え始めてずいぶん年月が経ちました。私は大学時代に社会科と英語の教員免許をとるも、実習は社会科だけ。学生時代は様々なアルバイトをしたものの、塾講師経験は皆無でした。よって、いざ英語や通訳の指導を始めても、最初のうちは大いに戸惑いましたね。 現在は文科省の方針で、大学の正教員になるには原則として博士号が必要です。一方、実務家教員の採用は増えています。そこで今回は通訳業とい...

保護中: 【第6回】「ライラックの花香るころ―中国語を生涯の友として」

国共内戦勃発―「八(パー)路(ルー)」に会ったよ! 愛犬クラがまだ「健在」だった敗戦後一年足らずの1946年春。 父のメモには「1946年4月~5月 国民党軍と八路軍(解放軍)市街戦、約一か月で八路軍が長春占拠。その後再び国民党軍奪回」とある。 すでに長春周辺では国共内戦が始まり、大人たちの会話によく登場するパールーといえば、まるで悪の代名詞のように怖い噂さが巷にあふれていた。...

【第5回】手話通訳士への道「情報の取得・コミュニケーションの重要性が「法」にー人権の質、ふくらみと広がりがー」

前回あたりから少しリラックスして書けるようになってきました。 緊張が少し…。あまりリラックスしすぎないように気を付けないととんでもない脱線をしそうです。身を引き締めて進めるように心がけますので今回もお付き合いください。 *** 手話通訳の担い手がほとんどいない中、手話奉仕員としてスタートした私です。 そんな私は、手話通訳に求められる資質は、そばにいるだけでいいという素朴な...

【第5回】探査工学から見た地球と宇宙「カーボンニュートラルについて(4) 」

地熱発電について 前回のコラムで二酸化炭素地中貯留(CCS)のことを書かせていただきました。今回紹介する地熱発電も、地球を利用してCO2の削減に貢献できるエネルギーです。 地球の内部はとても熱く、日本では火山地帯でない普通の場所でも1000m掘削すれば温度は45度くらいになります。当然地球の中心部(核と呼ばれる場所)はさらに熱く、5000度を超えると考えられています。その熱は大きなエ...

保護中: 【第21回】翻訳家ありのまま「『暇があったら翻訳お願いできませんか』って言われても…」

2年間の大学院生活を終えて帰国する際、私は“ちょっとした有名人”になった気分に浸っていた。今から思えば、まったくの錯覚なのだが、当時の私が錯覚するのも無理はなかった。というのもシェフィールド大学のエッセーコンテストに4期連続で入賞したり、在英邦人向けの日本語新聞2紙からコラム連載を依頼されたり、留学体験記を出版するとイギリスの新聞にバカでかい顔写真付きで紹介されたり、その流れでBBCラジオに出演...

【第13回】通訳なんでも質問箱「 準備はどうしてる?」

「通訳なんでも質問箱」は、日本会議通訳者協会に届いた質問に対して、理事の岩瀬和美と関根マイク(プラスたまに特別ゲスト)が不定期で、回答内容を事前共有せずに答えるという企画です。通訳関係の質問/お悩みがある方はぜひこちらからメールを。匿名で構いません。 Q.仕事を受ける〜実際に対応するまでの準備過程について質問です。他の通訳者は案件対応に向けてどのように準備しているのかがすごく気になります。...

「国際会議デビュー!体験記~渡真利いつき」

1 願いは叶う 「いつか国際会議で同時通訳したい」と思うようになったのは、コロナ禍で通訳スキルを磨きたいとオンラインの通訳学校であるグリンズアカデミーで勉強を始めてからでした。それまでは、同時通訳者としての仕事が存在するのかさえ半信半疑でした。沖縄でよくある通訳関連の求人とは、米軍関連の契約事業がある企業で通訳・翻訳をしながらその周辺事務を担当する英文事務職がほとんどで、私もその仕事をして...

「国際会議デビュー!体験記~イングリッシュ 綾乃」

今回、金城初美さんの第5回JACI特別功労賞記念講演「法廷通訳という仕事~半世紀の経験から」で同時通訳デビューという、とても貴重な機会に恵まれましたので、デビューにあたっての経緯、準備から本番までの様子や学んだことを、私と同じように通訳を目指す方の参考になればと思い、こちらでご紹介したいと思います。 お誘いはいきなりやってきた バタバタした夏休みが、やっと、もうすぐで終わるかな、と思...

「国際会議デビュー!体験記~オルセン聖子」

東京で約10年間、外資系企業のコーディネーターとして経験を積み、約4年前に地元沖縄へ移住。その後県内の建築設計会社に就職し、社内通訳翻訳者として会議の逐次通訳や資料の翻訳などをしていました。関根マイクさんのコラムを拝見したことがきっかけで本格的に通訳の勉強を開始し、無我夢中で通訳関係の本を読みあさる毎日。そんな中「日本通訳フォーラム2019」が東京で開催されると知り、すぐに参加を決意しました。 ...

【最終回】ロンドン・メトロポリタン大学会議通訳修士コース編「新たな挑戦へ」

こんにちは!ロンドン・メトロポリタン大学会議通訳修士コース在学中の渡辺有紀です。 今年の夏、イギリスは例年に比べて、暑い日が続きました。でも9月に入り、秋風がひんやり冷たい毎日です。そんな中で先日、エリザベス女王陛下崩御のニュースが駆け巡り、突然のことに国全体が悲しみに包まれています。現在は粛々と国葬の準備が進められているようです。 修士論文 私の二年間におよぶ大学院生活も、修...