出版翻訳

保護中: 【第6回】こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ「ささっと読んで不自然さを感じたら…」

訳文を推敲するときは、訳し終わってからしばらく(原文が思い出せなくなるくらいの時間)放置した後で(原文と訳文を対比させることなく)訳文だけを読み返してみることをお勧めします。その理由は、訳してからあまり時間が経っていない場合は、頭の中に原文が残っているため、どうしても原文に引きずられた訳になりがちだからです。訳者は「原文がこうなっているからこのように訳しているのだ」と主張したがるでしょうが、原文...

保護中: 【第5回】こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ「訳文を「等価」の観点から見直す(4)」

今回はテキスト構成レベルおよび語用論レベルでの「等価」を考えてみましょう。 まずテキスト構成レベルでの「等価」に関してですが、日本語と外国語ではテキストの構成自体が異なるわけですから、「等価」を実現しようと思えば、ときに言葉を省略したり付け加えたりすることも必要です。 例えば、英語では可算名詞にa がつくことがありますが、He has a Chinese friend.であれば、「彼...

保護中: 【第40回(最終回)】翻訳家ありのまま「テレビ出演で知った“どす黒い闇”」

2022年2月某日、某テレビ局からテレビ出演の依頼が来た。40分番組のメインゲストで出てくれないかという。ウッソー、私がテレビに? でも本当だった。じつは正月明けあたりから、なぜだか知らないが自分がテレビに出る予感がしていたのだが、それがまさか現実のものになるとは。これぞクオンタムリープだ! わっはっはっはっ、これでいいのだ。 まあテレビといっても地上波ではなくネットテレビではある。でもい...

保護中: 【第39回】翻訳家ありのまま「すぐにできるはずの打ち合わせを何ヶ月延期するんだよ!」

出版業界はスケジュール変更などザラにあるが、打ち合わせ日程をずるずると延期されるとどんなにやる気が喪失するか、その実例をお話ししたい(これは前回の続きである)。 「出版できるか否か検討するからA氏の本を貸してほしい」と頼まれたのでA氏の本を6冊ほどH社に送ったところ、翌日編集者からメールが来た。「社長が面白そうねと言っていました」とは書かれてあったが、まだ出版決定というわけではない。翻訳は...

保護中: 【第38回】翻訳家ありのまま「そんなに売れている本の真似がしたいわけ?」

打ち合わせするはずだった予定がずるずると延ばされると、(本当にこの編集者、この本出したがっているの? 本当は出すのを止めたいんじゃないの?)とだんだんやる気が失せてくる。今回は、打ち合わせを延期されるたびにやる気がどんどん失せていき、やっとのことで行なった打ち合わせの席で私が失言を吐いてしまった結果、出版自体がパーになってしまった失敗談をお話ししよう。同じような扱いを受けている著訳者も多いと思う...

保護中: 【第37回】翻訳家ありのまま「30分以内に弁護士をぎゃふんと言わせてやった」

G出版からの依頼で翻訳を仕上げたのに勝手に出版を中止にされ、調停も不調にされたので訴状を出したわけだが、驚くことに「出版契約は成立していなかった」という答弁書が返ってきた。え、初版印税も払っているのに「出版契約は成立していなかった」って、そんな主張が通るとでも思っているの? 契約は諾成契約と要物契約に分けられる。口約束だけで成立するものを諾成契約といい、物の引き渡しが必要なのが要物契約だ。...

保護中: 【第24回】翻訳家ありのまま「未払い印税回収劇①私だって生活に困ってます」

留学から帰国して3年経っても生活は苦しいままだった。最大約50万円まで膨らんだ借金を英会話講師などをやりながら完済したばかりで、いつ借金生活に逆戻りするかというギリギリ状態が続いていた。 そんなある日、編集者が拙宅に打ち合わせに来たので、一番気になっていたことを訊いた。 「印税って、いつ支払われるのですか」  すると彼女、ばつが悪そうにこう応えた。 「えっ、言ってませんで...

保護中: 【第23回】翻訳家ありのまま「『売れてるのか?』って何度も同じこと訊かないでよ!」

前回、「誰でも本を出せる」という夢のある話をしたので、今回は本を出すことのネガティブな側面をお伝えしようと思う。ポジティブな側面とネガティブな側面の双方を勘案して、それでも本を出したいと思えるか冷静にご判断いただければと思う。 単行本の執筆や翻訳に夢があるのは否定しない。ただ、「ベストセラーになって印税ガバガバ」というのは、狙ってできるようなものではないし、そもそもそんなことを狙って書いた...

【JITF2022】大島聡子、玉川千絵子、矢能千秋、山本真麻「出版翻訳 作戦会議:私たちの場合 最初の1冊〜現在〜次の目標」

大島聡子 https://twitter.com/syuzunosyuke 主な訳書『自己啓発の教科書』『世界の幽霊出現録』『ビジュアルストーリー 世界の秘密都市』(日経ナショナルジオグラフィック社)、映像『星のささやき』27th キネコ国際映画祭特別賞。 玉川千絵子 https://twitter.com/chitama 英日翻訳者。共訳『ブラッ...

【JITF2021】矢能千秋「『出版、夢だよね』と言ったあの日から、『きみがまだ知らない恐竜』シリーズが出るまで」

矢能千秋(やのう ちあき) レッドランズ大学社会人類学部卒、英日・日英翻訳者。訳書に共訳『世界のミツバチ・ハナバチ百科図鑑』ウィルソン=リッチ著(河出書房新社)、『きみがまだ知らないティラノサウルス』『きみがまだしらないトリケラトプス』『きみがまだ知らないステゴサウルス』ベン・ギャロッド著(早川書房)がある。 『出版、夢だよね』と言ったあの日から、『きみがまだ知らない恐竜』シ...

【JITF2021】宮崎伸治「自己PRの方法と出版契約の考え方」

宮崎伸治 作家・翻訳家。著訳書は約60冊にのぼる。著書としての代表作に『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』(三五館シンシャ)がある。出版翻訳家デビューからベストセラー出版、数々のトラブルを経て本人訴訟に至るまでの実体験を赤裸々に告白した同書は発売直後からテレビ、ラジオ、新聞、雑誌等で話題となり、好評発売中。電子書籍でも購入可。訳書としての代表作に『7つの習慣 最優先事項』(キ...

【JITF2020】越前敏弥「文芸翻訳のツボ&出版翻訳の現在」

(写真:大杉隼平) 越前敏弥 文芸翻訳者。訳書『おやすみの歌が消えて』『大統領失踪』『オリジン』『ストーリー』『世界文学大図鑑』『解錠師』『Yの悲劇』など。著書『翻訳百景』『文芸翻訳教室』『この英語、訳せない!』『日本人なら必ず誤訳する英文・決定版』など。全国翻訳ミステリー読書会、はじめての海外文学フェア、読書探偵作文コンクールなどの運営メンバー。朝日カルチャーセンター(新宿・横浜・...