翻訳

保護中: 【第6回】こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ「ささっと読んで不自然さを感じたら…」

訳文を推敲するときは、訳し終わってからしばらく(原文が思い出せなくなるくらいの時間)放置した後で(原文と訳文を対比させることなく)訳文だけを読み返してみることをお勧めします。その理由は、訳してからあまり時間が経っていない場合は、頭の中に原文が残っているため、どうしても原文に引きずられた訳になりがちだからです。訳者は「原文がこうなっているからこのように訳しているのだ」と主張したがるでしょうが、原文...

保護中: 【第5回】こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ「訳文を「等価」の観点から見直す(4)」

今回はテキスト構成レベルおよび語用論レベルでの「等価」を考えてみましょう。 まずテキスト構成レベルでの「等価」に関してですが、日本語と外国語ではテキストの構成自体が異なるわけですから、「等価」を実現しようと思えば、ときに言葉を省略したり付け加えたりすることも必要です。 例えば、英語では可算名詞にa がつくことがありますが、He has a Chinese friend.であれば、「彼...

保護中: 【第3回】こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ「訳文を「等価」の観点から見直す(2)」

今回はフレーズレベルで「等価」の訳出をするために何に留意すればいいかについて考えてみましょう。 訳文がフレーズレベルで「等価」かどうかが疑わしい場合、翻訳者が(1)その言語独特の意味があるフレーズであることを知らずに直訳している場合と、(2)その言語独特の意味があるフレーズだと気付いて「等価」である訳語を見つけようと試みたものの結果的に「等価」かどうかが疑わしくなっている場合が考えられるで...

保護中: 【第2回】こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ「訳文を「等価」の観点から見直す(1)」

前回、翻訳家が目指すべき2つの指針として正確さと読みやすさを挙げました。たいていの場合は、それで理想的な翻訳に近づけるといっていいでしょう。しかし例外があります。それは原文と訳文が「等価」になっていない場合です。「たしかに正確に訳してあるし、読みやすいけれど、原著者が意図することとは違ったニュアンスが読者に伝わってしまう」というケースです。 そこで、どうすれば「等価」の訳ができるのかについ...

保護中: 【第1回】こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ「翻訳家は何を目指すべきか」

今回から「こう訳すか、ああ訳すか、それが問題だ」というタイトルで連載させていただくことになり大喜びしている宮崎伸治です。え? 宮崎伸治? もしかして…と思い当たる方もおられるかもしれませんが、そう、私はつい先日まで「翻訳家ありのまま」を40回にわたり連載をさせていただいておりました。 同連載では“翻訳そのものの苦労”ではなく、“翻訳以外の苦労”について語ってきたわけですが、それもそのはず、...

【JIF2023】兼光ダニエル真「AIとネットと無断翻訳に対抗する商業翻訳術~文化の懸け橋の水先案内人としての翻訳家」

兼光ダニエル真 翻訳家。米国ミネソタ大学東アジア学部卒。商業デビューは1988年だが、英訳翻訳活動は1996年より本格化。2000年代からは海外作品の和訳も担当。これまでに多数の日本アニメ・マンガ作品を英訳。翻訳代表作ではアニメ『ガサラキ』、『ラブひな』、『機動戦艦ナデシコ』、『劇場版パトレイバー』及び『劇場版パトレイバー2』(2006年北米発売版)、マンガ『エクセルサーガ』(1~...

【JIF2023】グレゴリー・ケズナジャット「翻訳と創作の間」

撮影:渞忠之 グレゴリー・ケズナジャット 作家、文学研究者。2017年、同志社大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期課程修了。現在は法政大学グローバル教養学部にて准教授。2021年、「鴨川ランナー」にて第2回京都文学賞を受賞。最新作「開墾地」が第168回芥川龍之介賞の候補となる。両作品とも講談社から単行本として刊行。 翻訳と創作の間 通訳と翻訳の行為に携わる者の経験をいか...

保護中: 【第19回】翻訳家ありのまま「イギリスで翻訳の仕事にありつけたものの…」

“一流”と言われる企業を自ら希望退職し、社長がいう“無名の”大学院に留学するというのは、社長に言わせれば「意味がない」ことだし、同僚に言わせれば「もったいない」ことではあった。しかし30歳手前になっていた私にとって、その時期を逃せば一生後悔することになるという切迫感があった。出版翻訳家だけでなく同時通訳者にも憧れがあったので、1年でも早く留学してネイティブに近い発音を身に付けたかったからである。...

保護中: 【第4回】翻訳家ありのまま「某一流企業入社1ヶ月で激震が走った!」

入社日は3月1日だったが、その会社の給料は「前払い」だったので3月20日に初回の給料が払われることになっており、給料日の前日(つまり3月19日)に給与明細書が配られた。これを見れば「災いが2回連続して起こる」のか「災い転じて福と成す」のかが判明することになる。 恐る恐る給与明細書を開いてみると、なんのことはない、面接時に伝えられていた金額が印字されていた。 (あ~、助かった~。これで...

【JITF2021】矢野百合子「韓国語の通訳翻訳」

矢野百合子 学生時代に参加したワークキャンプでエネルギッシュな韓国に魅了され卒業後に語学留学。直後の大統領暗殺と軍事クーデター、民主化運動でキャンパスは催涙弾まみれに。その後も怒涛の政局に公私ともに翻弄されながら日韓を往復して語学や文化関連科目を教える。その間に通訳を頼まれたことが契機となり、帰国後の1994年から放送通訳と会議通訳に従事。 国際基督教大学博士課程満期退学。共...

通訳・翻訳にいつかは役立つ世界の時事問題を勉強する会【遠隔・全3回】

JACI初の勉強会セミナー(全3回)を開催いたします!Zoomによる遠隔セミナーですので場所を問わずご参加いただけます。JACIセミナー・日本通訳翻訳フォーラム2020でもご登壇いただいた、松丸さとみさんを講師にお招きします!今話題の時事問題について3回にわたり講師・受講生が共に学び合う新しいスタイルのセミナーを開催いたします。ニュース通訳・翻訳に従事している人に限らず、世界で起きていることを理...

通訳・翻訳にいつかは役立つ世界の時事問題を勉強する会ーPart2

好評につき、JACI勉強会セミナー(全3回)第二弾を開催します!Zoomによる遠隔セミナーですので場所を問わずご参加いただけます。「通訳・翻訳にいつかは役立つ世界の時事問題を勉強する会」第二弾です。今話題の時事問題について3回にわたり講師・受講生が共に学び合うセミナーです。ニュース通訳・翻訳に従事している人に限らず、世界で起きていることを理解していると、通訳・翻訳の仕事にきっと役立つはずです。仕...

【JITF2020】クリス・ダーバン「プレミアム市場で活躍する翻訳者・通訳者になるには」

クリス・ダーバン クリス・ダーバンは米国出身の翻訳者で、現在はパリを拠点に、質にこだわるクライアント向けにビジネス文書の仏英翻訳を主な仕事としている。休むことなく毎日翻訳しているが、飽きることはなく、楽しいことばかり。クリスはライティング、専門分化、直接取引のクライアント獲得などのトピックで頻繁に講演やワークショップを行い、リングイストによる積極的なアプローチがクライアントと翻訳者...

【JITF2020】田村かのこ「アートトランスレーション:『通訳は必要か?』から始める創造の現場」

©︎Hajime Kato 田村かのこ アートトランスレーター(通訳・翻訳者)。アート専門の翻訳・通訳者の活動団体「Art Translators Collective」を主宰し、表現者に寄り添う翻訳の提供と新たな価値創造を試みる。札幌国際芸術祭2020ではコミュニケーションデザインディレクターとして、展覧会と観客をつなぐメディエーションを実践。非常勤講師を務める東京藝術大学大学院美...

【JITF2020】山川早霧「翻訳者目線で見た翻訳エージェントの存在意義」

山川早霧 英日・日英翻訳歴15年。京都大学法学部中退後、26歳でフリーランス翻訳者に。時事通信社、野村総合研究所、新日本監査法人での社内翻訳、ゲッティイメージズジャパンでの日本語リンギスト経験を経て、2018年よりブティック型翻訳エージェントを経営。最近は通訳案件の問い合わせをいただくことも増えてきました。翻訳者の働き方については一家言あり。10月にマンガに関する共訳書が出ます。 ...

【JITF2020】古川綾子「韓国文学の翻訳について」

古川綾子 韓国語翻訳者。神田外語大学非常勤講師。韓国企業の日本支社で社内通訳・翻訳者として勤務後、韓国の大学院に留学。韓国文学翻訳院新人賞受賞を機に出版翻訳の道へと進む。主な訳書に『わたしに無害なひと』、『外は夏』、『娘について』、『未生 ミセン』、『降りられない船』など。 韓国文学の翻訳について ここ数年、さまざまな場所で韓国文学が紹介され、注目を集めるようになりまし...

【JITF2020】御代しおり「アメコミ翻訳講座」

御代しおり 日本に数名のみいるアメリカンコミックの翻訳家。大学生時代からアメコミ翻訳に携わり、31歳の若さで翻訳に関わったコミックは百冊を超える。MARVEL社の作品を手掛けることが多い。訳書に「シビル・ウォー」「グウェンプール」シリーズなど。好きなアメコミキャラクターはバトロック・ザ・リーパー。 アメコミ翻訳講座 皆さんはアメリカンコミックをご存知ですか?最近は映画化...

【JITF2020】高橋さきの、白倉淳一「通訳・翻訳・ことば――「語順」を手掛かりとして」

高橋さきの 特許翻訳、学術翻訳、評論など。英日・日英の翻訳歴36年。「日本語の読み・書き技術」や「翻訳技法」について話すことも多い。訳書に『できる研究者の論文生産術』『できる研究者の論文作成メソッド』(講談社)、『猿と女とサイボーグ』(青土社)など、共著書に『翻訳のレッスン』『プロが教える技術翻訳のスキル』(講談社)などがある。 白倉淳一(しらくら じゅんいち) ...

【JITF2020】井上里、須藤建「ヤングアダルト翻訳の魅力」

井上里 文芸翻訳家。2009年よりヤングアダルト、児童書、一般書の翻訳を手掛ける。2018年12月に刊行された『ピクニック・アット・ハンギングロック』(ジョーン・リンジー/東京創元社)で訳書が51冊に。現在はイギリスのNorwichでLiterary Translationの修士論文を書きながら52冊目を翻訳中。主な訳書にジョアンナ・ラコフ著『サリンジャーと過ごした日々』(柏書房)...

【JITF2020】島崎秀定、井口富美子、関根マイク、美野貴美「翻訳者・通訳者・通訳ガイドがともに考える 『コロナの時代』をどうサバイブするか? 」

島崎秀定 全国通訳案内士(英語)。慶應大学経済学部卒業後、経営コンサルティング会社、ガラス美術館副館長、海外旅行の企画・添乗(添乗日数約500日)、顕微鏡の輸出などを経験。高校時代に1年間アメリカに、また社会人になってから1年間フランスに留学。2009年末より通訳案内士としてフリーで活動を開始し、ここ数年は年間220日以上、外国人旅行者を北海道から沖縄まで全国に案内している。歴史や...

【JITF2020】高橋聡「辞書の使いこなし2020」

高橋聡 高橋 "帽子屋" 聡。CG以前の特撮と帽子と辞書をこよなく愛する実務翻訳者。翻訳学校講師。日本翻訳連盟(JTF)理事・副会長。学習塾講師と雑多翻訳の二足のわらじ生活と、ローカライズ系翻訳会社の社内翻訳者生活を経たのち、2007年にフリーランスに。現在はIT・マーケティングなどの翻訳を手がける。最近は、翻訳者が使う辞書環境と「辞書を読む」ことについて、翻訳フォーラム(fhon...